(文:成毛眞)
この『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)という本ですが、ご承知のとおり、私はIT企業のマイクロソフトの出身ですから、ITに関する知識は少しはある。そういう立場で見ると、IT業界の人は、アマゾンはAWS(アマゾンが提供するクラウドコンピューティングサービス)だと思っているんです。逆に言えば、AWSをやっている会社がアマゾンだ、と。
一方で消費材を作っている会社とか流通業者から見ると、アマゾンはスーパーやコンビニと同じような小売業であって、「コンピューター関係のことなんてやってるの?」などと言う。感覚のいい人は両方やっていることは知っていますが、アマゾンがどんなことをしているのかについてご存じない方がかなりいっぱいいることに気がつき始めたんです。
例えば株式関係者からすると、アマゾンの株を買う買わないということではなく、アマゾンがM&A(企業の合併・買収)する対象の会社がどこなのか、アマゾンがこんな戦略を持っているからそれに該当する会社の株を先回りして買ったり空売りしよう、という対象なんです。
アマゾンの事実だけを伝える
本にも書きましたが、「デス・バイ・アマゾン」というインデックスがあります。インデックスというのは金融用語で言うところの指標ですね。これは何かと言うと、アマゾンが競合している会社で空売りされていて株価が下がっている会社のリストのことです。アメリカの場合、これを知らない金融マンはいない。そしてアマゾンが次に何をするのかはアマゾンの社員ですら知らないので、今後については未来を予測するしかない、みたいなところがある。
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