英ボーダフォン・グループのエジプト法人が、同国の政府から要請されて、同社の携帯電話サービス契約者に対し不本意なメールを送らされていたと発表した。
エジプトでは非常事態の際、政府の権限で通信事業者に指示できるが、ボーダフォンは「エジプトでこのような法律が制定されていることはしかたがない」としながらも「こうした現状は受け入れがたい」と非難している。
3社に親政府のメール配信を強要
ボーダフォンはメールの内容について明らかにしていないが、米ブルームバーグは「軍隊がエジプトの忠実な市民に対し、(反政府デモを行っている)反逆者と犯罪者に立ち向かうよう呼びかけています」というメールがボーダフォンの通信ネットワークから配信されたと報じている。
ボーダフォンは、「すべてのメッセージは透明性を持つべきで、作成者に帰属すべきだ」とし、メッセージの配信を強要している政府に抗議している。
エジプト政府から指示を受けたとされる通信事業者はボーダフォンのほか、フランステレコム傘下のモビニルとアラブ首長国連邦(UAE)エティサラートのエジプト法人。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、2月1日にエティサラートから「栄誉ある市民よ、エジプトが永遠に続くよう、この国を守ろう」というショートメッセージが、2月1日にはモビニルから「エジプトの若者よ、噂には注意し、理性の声を聞け、そして国を守れ」といったメッセージが配信された。
ウォールストリート・ジャーナルは、混乱続くエジプトで、通信事業者は政府に翻弄されていると報じている。ボーダフォンによると、政府は同国でホスニ・ムバラク大統領の退陣を求める大規模デモが始まったころからこうした権限を行使してきたという。
ネットがようやく復帰、ツイッターも利用可能に
同国では、1月27日午後10時からインターネットと携帯電話のサービスがほぼ全面的に遮断されたが、1月29日に携帯電話の音声サービスが、2月2日にはインターネットが回復したと伝えられている。