「アリペイ(Alipay)」や「ウィーチャットペイ(WeChat Pay)」といった名を一度は耳にしたことがあるだろう。スマホのQRコードを店頭のタブレットにかざして決済する中国の第三者決済サービスである。アリペイはアリババ・グループ、ウィーチャットペイはテンセントが運営している。日本でも、中国人客向けのサービスとして導入する店が増えてきた。
これら“新参”サービスの登場によって、日本のインバウンド関連の売り場である異変が起きている。これまで中国人旅行客が利用する第三者決済サービスの代表格だった「銀聯カード」のシェアがみるみる低下しているのだ。
銀聯カードは、銀行間ネットワークを構築する「中国銀聯」(チャイナ・ユニオンペイ)が発行するデビットカードである。十数年前に日本に上陸して以来、道なき道を開拓してきた。反日デモや3.11の原発事故などで訪日客が激減したかと思ったら、その後「爆買い」ブームで取り扱い金額が急増。爆買いは一段落し、ようやく安定成長に入ったかに見えた。
だが、そこに“まさかの展開”が待っていた。急激なシェア低下である。業界に詳しい人物は次のように話す。
「中国ではモバイル決済の利用者が増えて、銀聯カードによる決済が激減しています。ようやく日本市場に根を下ろしたかに見えた銀聯ですが、シェアの半分近くがアリペイなどのモバイル決済サービスに食われてしまっているのです」