米国の首都ワシントンで「貿易戦争」という物騒な言葉が頻繁に語られるようになった。
トランプ大統領がいよいよ中国に対して貿易戦争を挑む、という観測からである。実際にトランプ政権は中国の貿易のあり方を激しく非難して、懲罰的な行動をとり始めた。
米国はレーガン政権下の1980年代にも貿易戦争と呼べる強硬な言動をとっている。この時の相手は日本だった。このとき米国は、日本側の対米経済攻勢に激しい反発の姿勢をみせた。ただし、安全保障面では日本は同盟国だった。その同盟の絆が、貿易面での衝突を緩和するうえで大きな役割を果たした。
トランプ政権は日本や韓国との貿易不均衡も指摘している。だが、中国は日韓と異なり安保面で米国と競合し対立する状態にある。しかも貿易面での米中両国のやり取りの規模は、80年代の日米貿易よりははるかに巨大である。そのため、米中貿易戦争が本格的に始まるとなると、米国経済にも世界経済全体にも、その衝撃波は激しくなることが予想され、新たな国際危機さえ生まれかねない。
太陽光パネルの輸入関税を引き上げ
トランプ政権による経済面での対中強硬策の1つが、1月22日に発表した中国製の太陽光パネルなどの輸入関税引き上げである。