老人、もっと言うと中高年は物欲がなさそうに見える。新ジャンルの製品を欲しがらず、ITにより中国ではここ10年で飛躍的に便利になったというのに、周囲から強く推薦されない限りパソコンはおろか携帯電話すらも触れようともしない。
昔のままの貧しい生活スタイルを好む中高年

高い買い物である車や家も買おうとせず、家はずっと居住している築20~30年の集合住宅に住みたがる。
服は中国のアパレル企業がこぞって様々な年齢層に向けて製品をリリースするにもかかわらず、日本で言えばシャッター街寸前の商店街にある“ファッションショップ”のような店で安い服を購入したがる。
結婚披露宴などのパーティがあれば、そこで出された御飯の残りを発泡スチロールの弁当箱やビニール袋に入れて持って帰り、後日家族に残り物を振る舞う。
日本の地方に住む老人以上に頑固で保守的でケチなのである。
ところが、さきほど旅行の例を挙げたように、この人たちにあるスイッチを入れると、今までの吝嗇感覚で言えば、“狂ったように”消費するようになるのだ。
文革の影響で知識欲まで減退した古い世代
新しいモノや技術やトレンドに無関心な原因として、文化大革命が影響しているというのが中国では定説になっている。
知識を持つことを良しとしなかった風潮が長く続いたことから、文革後は知識にとどまらず知識欲までも減退してしまったようである。
インターネット利用者層を見ると、1970年代生まれ以降の世代でのインターネット利用率と、1960年代生まれ以前の世代でのインターネット利用率には大きな隔離がある。
中国におけるパソコンやインターネットの普及はもはやお金の問題ではなく、歴史に裏打ちされた「やる気」の問題となっている。米国風に言えば、明確なデジタルデバイドが生じているのである。