映画「ハーブ&ドロシー」は、ニューヨーク在住の現代アートコレクターのレジェンド、ボーゲン夫妻のドキュメンタリーだ。

情報は足で稼ぐ「ハーブ&ドロシー」夫妻の凄さ

ワシントンD.C.のナショナルギャラリーが所有するクロード・モネの「日傘をさす女」(ウィキペディア

 ボーゲン夫妻は、40年間、現代アートを収集してきており、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーに寄贈されたコレクションを見れば、現代アートの足跡をたどれると言われるくらい、アート史において重要な作品を収集してきた。

 この映画の中で、コンセプチュアルアートのアーティスト、リチャード・タトルが、「ハーブは、キュレーターのような嗅覚を持っている」と語っている。

 キュレーターは、アートの目利きだ。作品をアートの歴史に置いてみて、どんな価値があるか見極める。

 ハーブ・ボーゲン氏は「現代のアートシーンの流れで、重要だと思ったものを買ってきた」そうだ。彼にとっては、完成前の下書きも、現代アートシーンの断片として価値を持つ。

 ボーゲン・コレクションは、夫妻のアートの知識、そして足で稼ぐ情報収集力の結晶である。

サーチでなくてセレクトの重要性

 この映画を見てふと思い出したのが、エムズカンパニー(m's company)の上坂真人社長の「これからは、サーチではなくてセレクトが重要」という言葉だ。彼は、信頼できる誰かに情報のセレクトを任せるニーズが、これから顕在化すると確信している。

 なるほど、私の友人はレストランを探す時、「東京カレンダー」のサイトに行き、そのサイト内の検索機能を使っている。自分好みのオシャレで落ち着いたお店を探すのに、東京カレンダーのセレクトを信頼しているからだ。

 私もピーター・バラカンさんの選曲センスに信頼を置いている。だから、毎朝7時にラジオをつけて、インターFMの「バラカンモーニング(BARAKAN MORNING)」を聞いている。