中国は今まさに就活シーズン。全国各地で企業の採用活動が活発化する時期でもある。
2010年は前年よりも41万人多い652万人が大学を卒業したが、深刻な失業問題を抱える中国では、職にあぶれる学生も多い。
一方で上海では就職難に人材難も併存し、複雑な状況を呈している。
不動産の高騰に加えて物価高が生活を直撃したことで、人材の「Uターン」「Jターン」現象が起こっているとも報じられている。日本企業の人材獲得はいかに。採用の現場を覗いてみた。
中国人の日系企業離れが起きている
11月27日、日本企業のディスコ主催による合同就職説明会「上海キャリアフォーラム」が、上海で開催された。
日本語を話す中国人、もしくは中国語を話す日本人をターゲットに、コニカミノルタ、島津製作所、凸版印刷など日本企業20社がブースを構え、会社説明や面接を行った。中国の現地法人での雇用を前提とする企業もあれば、日本の本社での採用を計画する企業もある。
過去11年にわたり開催されてきた同フォーラム、今年は2日間で311人(実数ベース、2009年は304人)が参加したが、こんな傾向が明らかになった。
「これまでは圧倒的に中国人学生が多かったのですが、今年は過半を占めたのが日本人学生でした」(ディスコ職員)
同職員は「日本人学生が就職への危機感を抱いているのと同時に、中国人学生の日系企業離れが出てきているのでは」と指摘する。
深刻な就職難の一方で人材流出の問題も
中国では過去5年にわたり大学卒業者は年々増加傾向にあり、2009年には600万人の大台を超えた。しかし、雇用は十分に回復しておらず、「卒業すなわち失業」という深刻な就業難に陥っている。