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地方で相次ぐ老舗百貨店の閉店

 2016年10月30日、西武旭川店が営業を終了した。同店のオープンは1975年。以来40年以上、JR旭川駅前という立地もあって地域の人々に親しまれてきたが、業績不振が続き長い歴史に幕を下ろさざるを得なくなった。2016年2月期の売上げは約105億円でピーク時の4割程度に落ち込んでいたという。

 最近、百貨店の閉店が相次いでいる。そごう柏店も開店以来40年以上続いた老舗百貨店だったが、同じく10月30日にその歴史に幕を下ろした。ほかにも、三越千葉店、西武筑波店、多摩センター三越などの閉店が予定されている。

 百貨店がこれほど業績不振に陥る理由は、一体何だろうか?

 そごう柏店を例に挙げると、店舗のあった柏市は東京のベットタウンとして人口増加が続いるにも関わらず、売上げは落ち込んでいた。10年連続で減少し、最近はピーク時の5分の1ほどになっていたというのだ。

 その原因の一つは2005年のつくばエクスプレスの開業だ。茨城県つくば市と東京都秋葉原を最短45分でつなぐ新路線の開通によって買い物客は都心まで手軽にいけるようになり、周辺都市から柏に来る必要がなくなったのだ。実際、柏駅の乗降客は1割以上減少した。

 加えて、国道沿いに複数の大型ショッピングセンターがオープンしたことも原因として挙げられる。単に買い物ができるだけではなく、映画館などもあり、家族連れで1日楽しめる施設に対抗できなかった。

 これは何もそごう柏店に限った話ではない。閉店、あるいは閉店が予定されているのは地方都市の百貨店に多い。つくばエクスプレスの開業というように明確な出来事はないものの、電車やバスで数十分でいける近くの大都市や都心まで足を伸ばす買い物客が増えているようなのだ。