杉村 メディアの一部には、「伊達さんがあれだけ頑張っているのに、若い選手は何をしているんだ」みたいな論調が見られます。

森上 伊達さんの活躍は本当に素晴らしいことです。しかし、そのことと、まだ成長段階にある若い現役選手を比較して、どうこう言うのも変な話です。若い選手には、周囲の雑音を気にすることなく、ぜひ、のびのびとテニスをしてほしいですね。

日の丸を背負って戦うと頑張れる

杉村 森上さんはフェドカップ(国別対抗戦)の勝率が異様に高いですよね。8割以上勝っています。これは何か理由がありますか?

森上 やっぱり何だろう、目に見えない力が出るっていうか、何か頑張れるんですよね。

杉村 日の丸を背負うと?

森上 日の丸を背負うと!

杉村 日の丸を背負ってテニスをするっていうのは、どんな気分なんですか?

森上さんとツーショット写真を撮ってみました(筆者撮影)

森上 やっぱり、普段の試合と違います。勝てば「日本が勝った」と言われるし、負ければ「日本が負けた」って言われるよね。もちろん、すごいプレッシャーではあるんだけど、そのプレッシャーを楽しむことがすごく重要で、私の場合はそれがとてもプラスに働いたかな。

杉村 やっぱり、フェドカップには特別な思い入れがありますか?

森上 ある。フェドだけでなく、オリンピックとかにも。テニス選手の中には、やはりグランドスラムを優先する人や、そちらの方に価値を高く置く人もいるけど、私の場合はテニス選手であると同時にアスリートであることも重要だと考えているから。

 単なるテニス選手としてはやっぱりウィンブルドンが一番なのかもしれないけども、全てのアスリートに共通して言えるのは、やっぱりオリンピックという舞台は最高だということ。オリンピックも個人の戦いというよりは、国を背負った戦いという側面が強いから、私はグランドスラムと同じように一生懸命頑張ったよね。

杉村 でも、それは国を背負って戦った経験のある森上さんにしか分からない感覚かもしれないよね。例えば、もし私に「オリンピックとウィンブルドン、どちらに出てみたいですか?」って聞かれたら、迷わずウィンブルドンって答えるよね。

森上 そういう人、やっぱり多いよね。実は、同じ質問を森田あゆみちゃん(注:1990年生まれのプロテニス選手。日本女子の次期エースとして期待されている)にしたら、あゆみちゃんもウィンブルドンって言ってた(笑)。