森上 ブロック注射を打って、出場しました。どんな痛みでも、2時間は完全に痛みが消える注射。

杉村 2時間?

森上 そう。その注射はとにかく完全に痛みが消えちゃうから、動けちゃうわけよ。それがかえって危険なんだけど。

杉村 なるほど。たとえ骨が折れたとしても、注射を打ってから2時間以内ならば、どんな痛みでも感じないんだ。それ、危険だわ。

現役時代の森上さん。2007年のウィンブルドンにて

森上 そう。だから、何があっても自己責任ですっていう誓約書を書いて、注射してもらって、試合に出たの。結局、ダメだったんだけどね。

杉村 そんな状態だったんですか。知らなかった。

森上 だから、私の中では本当にやるだけやったっていうのが率直なところで、何の思い残すこともない。自分の中で精一杯やったから、何の悔いもないの。

杉村 私生活には影響ないんですか?

森上 やっぱり階段を下りる時は少し怖い。だから私はもういいの。十分やったって言えるから。

クルム伊達公子選手の活躍は「すごい」の一言

杉村 クルム伊達公子選手が一度引退してから復帰して、大活躍されていますよね。彼女のご活躍はどのように見ていますか?

森上 ただただ「すごい」としか言いようがない。まったく年齢を感じさせない動き、ショットのキレ、そしてちゃんと結果を出している。本当に何も言えません。

杉村 伊達さんは若い選手に対して、さらなる発奮を求める発言をされていますが、それについてはいかがですか?

森上 私から見れば、若い選手も、ものすごく頑張っていますよ。10代、20代の選手には、「伊達さんは伊達さん、自分たちは自分たち」というスタンスで頑張ってほしい。「伊達さんは40歳なのにあれだけの活躍ができて、どうして自分たちはできないんだ」みたいなプレッシャーは不要だと思う。ただ、参考になる部分はたくさんある。しかし、比較する必要はまったくない。