中国・遼寧省の鞍山市。国内最大の製鉄所があり「鉄の都」の異名を持つ(資料写真、出所:Wikipedia)

 7月末、中国人民大学の研究機関である国家発展与戦略研究院が、中国の「ゾンビ企業」に関する研究報告を発表した。

 ゾンビ企業とは、実質的に経営破綻していながらも存続している企業を指す。報告によると、中国の工業企業34万社のうちゾンビ企業は約8%(=2万7000社、2013年)を占める。国有企業(集団所有企業含む)が3割以上を占める2865社の上場企業においては、14%にあたる412社がゾンビ企業である。業種別にみると、鉄鋼業や不動産業、建築内装業などに集中しているという。

 上場企業におけるゾンビ企業の数は2001年から増え続け、2013年にピークに達した。この間、中国では住宅ブームが起き、住宅建設に必要な鉄鋼、セメント、ガラス、またそれらの生産に必要な石炭の大量生産が行われ、国有企業を中心に業界が拡大していった。だが住宅ブームが収束すると、企業は負債と過剰な生産設備を抱えて経営が行き詰る。そうした企業には、政府による財政出動、補助金、金融機関による融資がつぎ込まれており、それが今ゾンビ企業として生きながらえているというわけだ。

 中国政府は経済改革の一環として、ゾンビ企業を淘汰する方針を打ち出している。それに伴い、2016~2017年にかけて、中国の炭鉱、鉄鋼、セメント、アルミニウム、ガラスなど5つの業界で、3割の労働者が失業すると推測されている。その数だけで1000万人をゆうに超える計算だ。他の業界を加えればさらに失業者の数は増えるだろう。