矢作 メイドインジャパンが世界を魅了してきたように、日本はコツコツ積み上げて精緻なものをつくっていくことについて見事な能力を持っていると思います。医療ICTの分野でグローバルなポジショニングを確保するためには、インテリジェンス・テクノロジーを使って、「暗黙知」をどう可視化して変換していくかがカギになります。この領域に特化して日本人の器用さを活かしていければ、日本はまだ勝ち目があるのではないかという期待もあります。現状、海外を見ても、まだそこまで突き抜けたものがないので、チャンスはこの5年~10年でしょう。
日本は、世界に誇れるインフラである国民皆保険制度と医療従事者たちが献身的に取り組んできた診療技術をICTでバランシングさせ、医療システムのパッケージとして世界に打って出ることができる。例えば途上国では、日本の医療システムの1から100まで全部を必要としているわけではありません。これまで1から3くらいまでしかなかった環境ですから、50になるだけでも相当ハッピーなわけです。そこで70くらいまでを自動化できる医療の意思決定支援モデルを提供することができれば、十分彼らは多くの命を救えるのです。そうした国に、国民皆保険制度の新しい制度とセットで出していくことができれば、結果として日本の医療基盤を支えるベースになっていくのではないかと考えています。

前田 琢磨氏(アイ・エム・エス・ジャパン株式会社)矢作 尚久氏(医師)左:前田 琢磨氏(アイ・エム・エス・ジャパン株式会社)
右:矢作 尚久氏(医師)

前田 RWDの持つ可能性について示唆深いお話をいただきありがとうございました。RWDをいかに意思決定につなげていけるかというお話をうかがう中で、単なる診療現場の意思決定支援というだけではなく、それは患者さんに寄り添い、治療満足度を向上させるということであり、さらには、日本の医療の国際競争力の基盤となる、極めて重要なことであるという深遠な意味まで見えてきました。まさに、将来のよりすぐれた医療の実現に向けて、RWDへの取り組みは必須の課題であり、IMSとしても優先課題として取り組んでいきますし、診療現場においても利活用が今後ますます広がって行くことを願っています。最終的には、将来、こうしたデータとツールが医療従事者と患者・家族の信頼関係の構築と維持につながり、安心安全な健康と医療が一体となった社会が到来すれば良いですね。先生の明晰な解説により、非常に参考になるお話をお聞きすることができました。本日はどうもありがとうございました。

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 プロフィール

矢作尚久先生
矢作 尚久氏

1974年 米国Palo Alto生まれ
2000年 慶應義塾大学医学部卒業(MD)、2004年 同大学院博士課程修了(Ph.D.)
2009年 東京大学医療経営人材育成講座修了(首席)
2011年にハーバードビジネススクールMHDにScholarshipとして招聘され修了を機に、持続可能で高品質な医療情報データベースと最先端の人の意思決定モデルを組み入れた医療マネジメントシステムデザインを設計。2012年には、国立成育医療研究センター臨床研究センター治験ネットワーク推進室専門職に就任し、全国の医療情報を統合可能とするメガデータベースのアーキテクチャと高度な情報処理技術を組み入れた世界初のClinical Data Management Networkを設計し、2014年実装。その後、内閣官房健康・医療戦略推進本部 次世代医療ICTタスクフォース構成員となる2015年より国立成育医療研究センター臨床研究センターデータ科学室室長代理、内閣官房健康・医療戦略推進本部 次世代医療ICT協議会構成員


 

前田 琢磨氏
前田 琢磨氏

1992年慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。同年横河電機入社、エンジニアとしてサウジアラビア、シンガポール、中国などの石油石化プラントの立ち上げに携わる
1998年カーネギーメロン大学産業経営大学院(MBA)修了
1998年アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社で経営戦略、技術戦略、知財戦略に関するトップ・マネジメント・コンサルティング・サービスを提供
2012年アイ・エム・エス・ジャパン株式会社入社。現在、グローバルで展開するIMS Consulting Groupにおいて日本での同部門事業部長。日本医療情報学会会員、ISPOR会員、ITヘルスケア学会会員 著書に『葡萄酒の戦略』(東洋経済新報社)、訳書にクリス・フロイド著『経営と技術』(英治出版)、共著に『グロービスMBAマネジメント・ブックII』(ダイヤモンド社)がある

 

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