2016年4月16日、熊本県でマグニチュード7の地震が発生した。現在でも2万人を超える住民が避難所で暮らしている。
振り返ると、阪神・淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、新潟県中越沖地震(2007年)、東日本大震災(2011年)、そして今回の熊本地震に至るまで、日本ではマグニチュード6以上の地震が多発している。
このような大きな地震は、住民の健康に大きな被害を与える。まず、地震に伴う怪我などの直接的な被害が挙げられる。
直接的な被害によって死亡した場合は直接死と呼ばれる。過去の震災で、直接死で亡くなった人数は、阪神・淡路大震災で5502人、新潟県中越地震で16人、新潟県中越沖地震で11人、東日本大震災で1万5894人、熊本地震で48人である。
災害は間接死も急増させる
加えて近年、間接的な健康への被害が注目されている。
例えば、熊本地震では避難中の車中泊から51歳の女性がエコノミークラス症候群で死亡した例が報道された。
このように、震災による環境の変化が原因となって生じた死亡のことを、本稿では直接死に対して「間接死」と呼ぶ。
よく使われる言葉として震災関連死があるが、これは遺族への支援を目的とした災害弔慰金の給付と関わっているため、医学的な因果関係は重要視されない。誤解を避けるために両者を区別して議論する。
「間接死」は、過去の震災でも指摘されている。