ベルギー空港爆発、「突然皆が床に…」 乗客が恐怖語る

テロ現場となったブリュッセル国際空港の近辺で警戒に当たる警官(2016年3月24日撮影)〔AFPBB News

 訪日外国人は長い間年間700万人前後であったが、平成25(2013)年に1000万人を突破してからは急増し、平成27(2015)年には2000万を突破した。政府はオリンピック年(平成32年)に4000万人、平成42(2030)年には6000万人に目標を再設定した。

 そうした一環として、玄関口となる空港の運営を民間に開放する施策が進んでおり、関西国際空港と大阪(伊丹)空港の運営は4月に民営化された。仙台空港は6月に予定され、その後も高松、広島空港などの民営化が検討されている。

 しかし、空港では有事対処やテロ対策等の非常時対応が欠かせない。サミットやオリンピックを前にして、空港の安全性について検証する。

脆弱性を高めている飛行場

 テロの脅威で国際社会には暗雲が漂っている。フランスやベルギーでは大きなテロが相次いだ。IS(イスラム国)に対する掃討作戦も進展し勢力圏が狭まっているので、死に物狂いで抵抗し、あるいは注意を逸らすために思わぬところでテロを仕かけるかもしれない。

 なかでも世界の要人が集まる国際会議や、多数の観客が集まるスポーツ・娯楽施設、さらには歓楽街などが、宣伝効果を高める観点からも狙われやすい。

 そうした結節点となるのが空港である。樋口恒晴常磐大学教授によると、有事対応(参照:『Voice』2015年4月号所収「防衛を忘れた空港」)は言うまでもなく、テロ対策(同誌、同6月号所収「自壊する空港テロ対策」)においても日本は覚束ない状況にある。

 飛行場は航空防衛力として有用であるが、ハード面、ソフト面で心もとない限りであるという。ここでいう飛行場は自衛隊や米軍利用の軍用飛行場ばかりでなく、民間空港も含んでいる。

 ハード面というのは滑走路の超硬化舗装や燃料槽・弾薬庫・指揮所などの地下化、さらには敵の攻撃によって滑走路が破壊された場合に備えたスチール・マットの調達や軍用機を格納する鉄筋コンクリート製のシェルター(掩体)整備などである。

 現実には超硬化舗装は行われず、燃料槽などの地下化もあまり進まなかった。シェルターに至っては千歳基地のみ所在機の半数を収容できるようになったが他の基地では即応待機する機体分しか整備されていないので、敵襲対処にはなっていないと指摘する。

 しかも、基地周辺は保安や安全のために土地の買収などが必要であるが、現実は逆に、どんどん民間に浸食され、基地強化どころか脆弱化しているという。冷戦終了時の「もはや脅威はない」が、時計が止まったように日本人の心に沁み込んでいるようだ。