モンゴル研究をしていると人に話すと、以前、決まって言われたのは、「ああ、あの草原の!」「スーホの白い馬の!」、あるいは「あ、あのチンギス・ハーン(ジンギスカン)の!」であった。
モンゴルは中国の一部だと信じて疑わない日本人
さらに「モンゴル人はチンギス・ハーンが源義経であることを知っているんですかね」と聞かれたりする。
それでも、「今も存在するんですか」という意見や「あの中国の一部のね」と物知り顔で言われたりするのよりはましのような気がする。
数は少なくなっているが、終戦前に現在中華人民共和国の内モンゴルと呼ばれる地域でモンゴル人と接した人々の記憶が様々な形で日本人に残っていることを示しているようだ。
今でこそ、朝青龍や白鵬、日馬富士といった相撲取りの活躍でようやくその存在が多くの人に知られてはいるが、それ以前は多くの人に関心を持たれていたわけではない。
ただ、相撲以前から不思議とモンゴル好きという人は日本に一定程度いることだけは確かなようである。
『文明の衝突』では消える国として描かれた
人口270万人、日本の約50分の1の市場はそれほど魅力的でないことも、さらにモンゴル国はロシア連邦と中華人民共和国に挟まれた形で存在することも重要と思われていない一因のようである。
モンゴル人は反発したが、サミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』で今後、消える国の1つに挙げていた。
中国とロシアという大国に挟まれたモンゴル国は果たして、日本にとって、そんなに価値のないところなのだろうか。
確かにモンゴルは領土を完全に囲まれているため、ほかの地域との連携にも非常に苦労している。