原発推進派、反対派を問わず、日本の原発再稼働の動向に関心を持ちウォッチしている人なら河合弘之弁護士の名を聞いたことがあるはずだ。
2014年5月21日、福井地方裁判所は関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた。また2015年4月14日には、福井地裁が関西電力に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分命令を下した。高浜原発は同年2月に原子力規制委員会の審査をパスしていたこともあり、判決は大きな注目を集めた。
これらの裁判で原告(住民)側の弁護団団長を務めたのが河合氏である(ちなみに、いずれの裁判も裁判長は樋口英明判事だった)。
河合氏は最初から反原発だったわけではない。もともとは名うてのビジネス弁護士だった。1980年代後半から90年代初頭にかけてのバブル期には、平和相互銀行事件、ダグラス・グラマン事件、イトマン事件などさまざまな大型経済事件を手がけた。
だが、95年頃から一転して反原発活動に携わり、運転差し止め訴訟を次々に仕掛けていく。福島原発事故が発生すると、全国各地で原発裁判に取り組む弁護団の連帯組織「脱原発弁護団全国連絡会」を立ち上げ、共同代表に就いた。2014年には自ら制作・監督を務めた映画「日本と原発」を公開し、全国で上映会を開いている。