マット安川 鈴木宗男さんと旧知の間柄で、自身も検察の取り調べを受けて熟知されている佐藤さん。番組内では取り調べの不審点や密室での調書作りなどもお話しいただきました。

 民主党代表選の話をお聞きするにつけ、世間で政局が物笑いの種になっている現状は、残念というほかありません。

鈴木宗男が収監された理由が全く伝わっていない

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:佐藤優/前田せいめい撮影佐藤 優(さとう・まさる)氏(右)
元外交官、文筆家 インテリジェンスの専門家として知られる。第38回大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞した『自壊する帝国』の他、著書・訳書多数。近著に『この国を動かす者へ』。
(撮影・前田せいめい)

佐藤 鈴木宗男さんが収監されることになりましたが、そもそもなぜ捕まったのか、ぜんぜん伝わっていません。

 北方領土や、ムネオハウスとかロシア絡みとか、当時報道されたことは何も関係なくて、実際は帯広の会社から賄賂をもらったことです。

 鈴木さんは400万円の政治献金をもらったと主張しています。

 つまり、収賄や政治資金規正法違反などのパッケージで捕まったんですが、その事件のことは忘れられていて、何となく過去の印象が先走っている。

 村木厚子厚生労働省元局長の裁判、これも特捜の事件ですが、村木さん自身は誘導されてつくられたと言っている。鈴木さんの場合と非常によく似ています。

 もしこの判決で無罪が出たら、私は無罪が言い渡されると思いますが(注)、「あれ? 鈴木さんと似ているんじゃないの、鈴木さんの言い分をもう1回聞いてみようじゃないか」という世論が出てくるかもしれない。

 それが嫌だから、先手を打ったのだと私は見ています。

 それは検察がそうやれとか、仙谷(由人)官房長官が鈴木さんのことを嫌いだからそうやれ、ということではありません。何となく、という雰囲気です。

(注)ラジオは9月10日オンエア、同日午後に無罪判決が下された