日米安保を肯定して集団的自衛権の行使を否定する矛盾

 衆議院憲法調査会で3人の憲法学者が安保法制について「違憲」だと意見表明したことが、大きな問題になっている。なかでも自民党推薦の長谷部恭男早大教授まで「違憲」だと述べたことが、与党に衝撃を与えている。

 3人の意見の概略は、次のようなものである。

 「従来の憲法解釈はガラス細工で、ぎりぎり保っていた。安保法制は踏み越えてしまっている」(笹田栄司早大教授・維新の党推薦)

 「海外に戦争に行くのは集団的自衛権で、憲法9条違反。閣議決定で、政府が積み上げてきたものが、論理的に吹っ飛んだ」(小林節慶大名誉教授・民主党推薦)

 「個別的自衛権のみ許されるという論理で、なぜ集団的自衛権が許されるのか。どこまで武力行使が許されるかも不明確で、立憲主義にもとる」(長谷部恭男早大教授)

 3人の意見に共通していることは何か。私の勝手な推測だが、恐らく自衛隊は合憲であるという立場であろう。また、これまで歴代内閣が積み上げてきた憲法解釈も「ギリギリ合憲」だという立場であろう。だが、集団的自衛権の行使は憲法上認められないということであろう。

 では、日米安保条約についてはどう評価しているのだろうか。新聞報道で見る限り、不明であるが、恐らく肯定的に見ているのではないだろうか。3人の学者を推薦した自民党、民主党、維新の党も日米安保条約を肯定している政党である。