エボラ出血熱のワクチン、第1相臨床試験で良好な結果

英製薬大手グラクソ・スミスクラインのエボラワクチン「ChAd3」が入った注射器を持つ医師(本文と関係ありません)〔AFPBB News

 3月31日の年度末にこっそりと、東京大学のホームページに「臨床研究「Valsartan Amlodipine Randomized Trial」に関する調査結果概要」と題する発表が追加された。

 掲載されたのは東大のホームページの中でもかなり奥まった場所であり、「プレスリリース」の「記者発表一覧」から、「▼過去のプレスリリース」を開き「2014年度」を選択しないとたどり着くことができない。

 発表日が3月31日の場合は年度末の処理として一律でこうしているのだろうが、後に検討するように、この発表のタイミングを東大は見計らっていたとみられる。触れてもらいたくない話題なので掲載と同時に奥まった場所に移動させようという意図が透けて見える。

 本題に入ろう。この発表は2012年から世間を騒がせているディオバン(R)事件(バルサルタン事件)において、現東京大学循環器内科の小室一成教授が、当時千葉大学で主導したVART研究に関する、東大の調査報告である。

 ディオバン事件は、世界有数の製薬会社であるノバルティスファーマ(以下ノバ社)の降圧剤「ディオバン」について行われた数多くの医師主導臨床研究に、同社の社員であった白橋伸雄被告人(薬事法違反で起訴)が不正に関与したうえで統計データの改竄などを行った、とされる問題である。

 「the Valsartan Amlodipine Randomized Trial(VART study)」(以下、VART研究)は千葉大において小室教授が行ったディオバンに関する臨床研究であり、白橋被告人が実際に関与していた研究である。

 千葉大は昨年(2014年)7月15日に「臨床研究「VART study」についての調査報告(最終)」と題した最終報告を行い、現在東大教授となっている小室教授への処分を、東大に求めていた。

 先に述べると、この3月31日に東大が発表した調査報告においては「小室教授への処分はなし」という結論となっている。

 なかなか興味深い結論であるが、内容については他でも取り上げられているので、別の機会に検討することとして、今回この記事では少し別の視点から「VART研究特別外部調査委員会」の委員に注目して、東大が考える「外部」とは何かを検討してみたい。