本記事は3月18日付フィスコ企業調査レポート(アートスパークホールディングス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 角田 秀夫
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マンガ制作ソフト、電子書籍ビューアで高シェア、戦略投資で成長
アートスパークホールディングス<3663>は、2012年に(株)セルシスと(株)エイチアイが統合して誕生した。デジタルグラフィックス技術を基盤に、電子書籍閲覧やマンガ・アニメ制作支援、自動車関連デジタル機器のユーザーインターフェース開発等を展開する。
セルシスは、アプリケーションに強みがあり、イラスト・マンガ制作ソフト「CLIP STUDIO」や電子書籍ビューア「BS Reader」など国内シェアNo.1の製品を数多く持つ。エイチアイはミドルウェアに強みがあり、自動車関連を中心としたデジタル機器の組込みユーザーインターフェース分野において技術力とデザイン力を兼ね備えたユニークなポジションを確立している。
2012年の上場以来、営業赤字が続いていたが、取り組んできた構造改革と戦略投資の効果が顕在化し、2014年12月期は営業黒字を達成した。2014年12月期連結業績は、売上高3,826百万円(前期比140百万円増)、営業利益99百万円(同168百万円増)。2015年12月期計画は、売上高4,349百万円(前期比522百万円増)、営業利益181百万円(前期比81百万円増)を見込んでいる。
今後も従来の基本戦略を継続する。グループ会社の技術基盤統合によりシナジーを追求しつつ、戦略事業(クリエイターサポート事業、UI/UX事業)への積極投資を行い、成長を加速させる戦略だ。
Check Point
●携帯端末向け電子書籍ソリューションを配信事業者へ提供
●アニメ制作ソフト、マンガ制作ソフトでは国内シェア9割以上
●2015年12月期は戦略投資事業で事業拡大、連続増収増益を目指す
会社概要
デジタルものづくりをトータル支援するために2社統合で誕生
(1)沿革、グループ会社
同社は、2012年4月にセルシス(1991年設立)とエイチアイ(1989年設立)が、「デジタル“ものづくり”」をトータルに支援するというビジョンのもとに経営統合した企業グループである。2社が持つ要素技術を相互活用することにより、研究開発・製品開発を効率化し、相乗効果を発揮することが統合の狙いである。2014年2月に(株)エイチアイ関西を、同4月に(株)U'eyes Designを連結対象に加えている。
利益面の柱はコンテンツソリューション事業とアプリケーション事業
(2)事業構成
同社は4つの事業セグメントから構成される。戦略投資事業として位置付けられるのが、クリエイターサポート事業(売上高の19%)とUI/UX事業(売上高の48%)であり、利益貢献はまだ小さい。一方、利益を支える事業に分類されるのが、コンテンツソリューション事業(営業利益の29%)とアプリケーション事業(営業利益の56%)である。(各事業の詳細は後述)
グループ各社を事業セグメント別に見ると、セルシスはコンテンツソリューション事業及びクリエイターサポート事業、それ以外のエイチアイ、エイチアイ関西、U'eyes DesignはUI/UX事業及びアプリケーション事業に位置付けられる。