本記事は3月16日付フィスコ企業調査レポート(ソフトブレーン)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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営業支援・顧客管理ソフト大手、14年12期は過去最高更新

 ソフトブレーン<4779>は企業の営業課題を解決、支援するためのSFA/CRM(営業支援/顧客管理)ソフトの大手で、SFAの分野では国内で2~3割の市場シェアを握る。子会社で展開しているフィールドマーケティング事業が第2の収益の柱に成長している。

 2014年12月期の連結業績は、売上高が前期比11.7%増の4,934百万円と7期ぶりに過去最高を更新し、営業利益も同15.4%増の568百万円と2期ぶりの増益に転じるなど好調な決算となった。顧客数の拡大並びに取引シェアの拡大でフィールドマーケティング事業が高成長を持続したほか、システム開発事業やその他事業の収益改善が増益要因となった。また、eセールスマネージャー関連事業も、開発費や販促費など先行投資負担がかさんだことで減益となったものの、売上高は着実に増加した。

 2015年12月期は売上高が前期比9.4%増の5,400百万円、営業利益が同14.3%増の650百万円と増収増益が続く見通し。フィールドマーケティング事業の好調が続くほか、eセールスマネージャー関連事業も利便性をさらに高めた製品開発を進めることで顧客数の拡大を目指す。同事業では売上拡大を重視しており、今期は中堅・中小企業向けに強い販売チャネルを持つ企業との協業も強化しながら、2ケタの売上伸長を目指していく考えだ。

 なお、配当金に関しては今期も無配を予定している。現状は事業を拡大していくための投資フェーズにあると考えているためで、内部留保資金に関しては開発投資や販促費などに優先的に振り向けていく。株主還元方針に関しては、経営状況を鑑みながら改めて検討していくとしている。

Check Point

●クラウド、オンプレミス契約によるストック型収入の比率が上昇
●営業利益率、ROE、ROAなどの収益性は10%を超える
●新規大型案件を予定、ラウンダー人材ビジネスの成長も見込む

事業概要

同社製品の導入実績累計は大企業から中小企業まで3,000社を超える

 同社の事業は「eセールスマネージャー関連事業」「フィールドマーケティング事業」「システム開発事業」「その他事業」の4つに区分されている。売上高、利益ともに「eセールスマネージャー関連事業」「フィールドマーケティング事業」で大半を占めており、両事業が収益の2本柱となっている。連結子会社は2014年12月末で5社あり、事業内容は表のとおりとなっている。

○eセールスマネージャー関連事業

 営業支援ソフト「eセールスマネージャー」のライセンス販売、クラウドサービス、カスタマイズ開発及び営業コンサルティング、営業スキルトレーニング等からなる。

 「eセールスマネージャー」は、営業活動のプロセスマネジメントを行い、各工程を「見える化」することによって定量的に状況を把握し、改善点を見つけ出すことによって、営業効率の向上を図るソフトウェアツールとなる。

 「eセールスマネージャー」の販売形態としては、ソフトのライセンス販売で収入を得るオンプレミス型と、月額使用料を徴収するクラウド型とに分けられる。ここ最近では、サーバーなどの設備負担を必要とせず、初期導入コストを抑えることができるクラウド型サービスの契約が大半を占めるようになっている。なお、クラウド型に関しては「eセールスマネージャーRemix Cloud」(1ユーザー当たり月額6,000円〜)のほか、従業員10名以下の中小企業向けに機能を絞った簡易版「eセールスマネージャーnano」(1ユーザー当たり月額500円)の提供を行っている。

 SFA(営業支援システム)の国内市場規模は50~80億円程度で、同社のシェアは2~3割とみられる。競合企業は、NIコンサルティング(未上場)、セールスフォース・ドットコム(クラウド型のみ)など。クラウド市場ではセールスフォース・ドットコムが4割超のトップシェアを握っている。

 「eセールスマネージャー」の導入実績は累計で3,000社を超えており、製造業からサービス業、大手から中小企業に至るまで幅広い企業に導入されている。同社製品の強みは、操作性や処理速度など使い勝手の良さに加えて、オンプレミス型、クラウド型と両方の販売形態に対応可能なこと、導入効果を高めるためのコンサルティング、教育研修サービスなどサポート体制が充実していることなどが挙げられる。