本記事は2月12日付フィスコ企業調査レポート(システムディ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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主力事業は堅調、中計達成に向けV&V戦略を展開

 システムディ<3804>は特定業種に特化したソフトウェアを開発・販売している。私立学校法人向けトータルシステムとスポーツジム向け会員・運営管理システムを柱に、調剤薬局向け業務支援、企業の文書管理支援、公立学校向け校務支援、地方自治体向け会計業務支援の各ソフトウエアの拡販に注力中だ。

 同社の業容は順調に拡大してきており、現行の3ヶ年中期経営計画の初年度に当たる2014年10月期決算も売上高、利益ともに業績計画を達成した。同社は現中期経営計画における事業戦略を「V&V Business」と称して推進中だ。この事業戦略の意図は、同社製品の市場が、これまでの既存顧客層から拡がり、資金面でより余裕がある層とより乏しい層とに3分解しつつある現実に対応することにある。その具体的な内容は従来顧客に対する「パッケージソフト対応」と「大規模で複雑なニーズに応じたカスタマイズ対応」「小規模なクラウド・サービス化」にあるが、同社は各事業分野の主力製品全般で、すでにクラウド向け製品・サービスの開発を完了済みであり、これらの販売加速が期待される局面にある。

 同社の6つの事業部門は全部門とも順調に成長しているが、その中で特に成長が期待される事業部門や新サービスがある。事業部門の中で成長期待が高いのは、公共分野、すなわち、公立学校向け校務支援ソフトと、地方自治体向け新公会計用ソフトだ。また、新しいサービス分野としては、いわゆる「B to B to C」市場だ。具体的な「B to B to C」向けサービスとして、健康維持・増進を支援する「ウェルディ・クラウド」と、保護者に対して子どもが通学する学校の情報を提供する「アンシン サイト」が開始されている。

 同社の中期成長シナリオを総括すると、「市場」としては公共分野、「販売戦略」として「V&V Business」戦略のもと顧客の予算規模に関わらず全方位的に対応、「事業領域」としては「B to B to C」への進出・強化、の3点が主要ポイントということになろう。これら3つのいずれにおいても成功の可能性は十分高いとみられ、その結果として現中期経営計画で目指す業績目標も達成されるものと弊社では期待している。

Check Point

●私立学園向けとウェルネスが主力事業、公共向けへも注力
●計画を上回る好業績で2ケタ増収増益、主力の学園向けが堅調
●16年10月期に向けた中計推進中、KPIはいずれも順調に伸長

会社概要

私立学園向け校務システムの草分け的存在として事業拡大

(1)沿革

 同社は現在の代表取締役会長兼社長・堂山道生(どうやまみちお)氏により1984年に設立された。最初の製品は私立学校向け「学校法人会計管理システム」であった。私立学校向けパッケージソフトはその後、現在の主力商品である「キャンパスプラン」シリーズへと進化・発展し、経営の柱に成長している。

 2001年にはウッドランド(現フューチャーアーキテクト<4722>)の子会社(株)ハローを吸収合併したのを機にウェルネスソリューション事業へと進出した。これはフィットネスクラブの会員管理用ソフトなどを手掛けるものだ。その後も、企業の文書管理ソフトや、調剤薬局のレセプト管理用ソフトなどへと業容を拡大した。

 同社は創業以来、私立学校及び民間企業を対象として業容を拡大させてきたが、近年では公共分野向けの製品開発・市場開拓に注力している。具体的には地方公共団体の会計制度変更に伴う新規会計システムソフトウェア需要の取り込みと、公立小中高校を対象にした校務支援ソフト・サービスの提供だ。これらの公共分野の強化は、対象となる潜在顧客数は多いものの、自治体予算として制約も厳しいため、同社の事業モデルに変革を迫る側面も有している。同社はそれに対して積極的にクラウド化で対応し、市場を獲得していく方針である。