通常国会が始まったと思ったら、国の補助金の給付決定通知を受けた企業からの閣僚への献金問題一色になっている。最初に俎上にあげられたのは、西川公也前農水相だった。

 自ら顧問を務めていた木材加工会社が、2009年度に1億6100万円、2010年度に3億700万円、2012年度7億円、3年間で12億3100万円もの国の補助金を受け取っていた。いずれも農水省所管の林業振興が目的の補助金である。2012年度の7億円の補助金交付が決定してから約4カ月後、西川氏はその木材加工会社から300万円の寄付を受けていた。さらに継続的に顧問料も受け取っていた。

 それ以外にも、精糖工業会の関連企業である精糖工業会館からも100万円の寄付を受けていた。精糖工業会は、100万円寄付の約4カ月前に農水省から13億円の補助金交付決定通知を受けていた。

 いずれも政治資金規正法が禁止する「補助金交付決定通知から1年以内の寄付」であった。政治資金規正法は、国から補助金の交付決定を通知されてから1年間、政党や政治資金団体などへ寄付することを禁じている。

 西川氏は、「寄付も補助金の交付も全く知らない状況だった」「経営上のことで頼まれることはなかった」と疑惑を否定した。だが同氏は、衆議院農林水産委員長を務めるなど農水族議員であり、現職の農水相でもあった。木材加工業者も、だからこそ顧問に据えたのであろう。精糖工業会の場合は、見え見えの迂回献金である。農水相辞任は、避けられないものであった。

民主党は2匹目のドジョウを狙ったが・・・

 だがこのあとの民主党の追及はいただけない。「西川の首を取ったから、他の閣僚も」と意気込んだのであろう。自民党を論戦で攻めあぐねている野党民主党が、「ここぞ」とばかりにこの問題に飛びついた気持ちは、私も野党議員を経験しているので分からないでもない。野党議員というのは、いつでも威勢よく政府を追及したいものなのだ。そのためには、弱みを衝くのが一番簡単だからだ。だが、柳の下に2匹目のドジョウはいなかった。