本記事は12月17日付フィスコ企業調査レポート(サン電子)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
柴田 郁夫
本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。

モバイルデータソリューションの好調が持続、M2Mにも注目

 サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。2007年に買収したセレブライト社(イスラエル)が展開する携帯電話関連機器が、米国を中心に急成長している。創業時から脈々と受け継がれるベンチャースピリッツと開発力を武器として、今後の需要拡大が見込めるM2M(Machine to Machine)事業など情報通信分野の成長市場でグローバル展開を図ることにより、成長を加速する方針だ。

 2015年3月期第2四半期(2014年4月-9月)決算は、売上高が前年同期比0.8%減の12,557百万円、営業利益が同10.6%減の1,213百万円と売上高はほぼ横ばいながら減益となった。ただし、期初予想との対比では、売上高が109.2%、営業利益が137.9%と計画を大きく上回る進捗となっている。モバイルデータソリューション事業が米国を中心に大きく伸長した一方で、消費税率引き上げの影響を受けたホールシステム事業の落ち込みが業績に影響を与えた。前期非常に好調であった遊技台部品事業は減収減益となったものの、計画を上回る進捗となった。一方、利益面では、セレブライト社の事業拡大に伴う費用増などにより、営業利益率は9.7%(前年同期は10.7%)に低下した。

 同社は、2015年3月期の業績見通しについて、期初予想を据え置いており、売上高が前期比2.8%増の25,000百万円、営業利益が同13.9%増の2,500百万円と増収増益を見込んでいる。第2四半期実績が計画を上回ったことに加えて、モバイルデータソリューション事業が好調を持続していることや、M2M事業の導入実績が増えていることなどを勘案すると、業績の上振れの可能性も考えられる。

 一方、中長期的な成長戦略の軸は情報通信分野の強化である。モバイルデータソリューション事業の更なる事業拡大や、様々な方面から引き合いが増えてきたM2M事業の進捗に注目したい。

Check Point

●情報通信分野でグローバル展開を図る
●2Qは減収減益も計画通り
●4期連続の増収増益へ、モバイルデータソリューションがけん引

事業概要

情報通信分野でグローバル展開を図る

 同社は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。情報通信関連事業では、海外子会社(セレブライト社)が展開する携帯電話向けのモバイルデータトランスファー機器を中心として、M2M(Machine to Machine)デジタル通信機器やゲームソフトも手掛ける。また、エンターテインメント関連事業では、パチンコ機メーカー向けの遊技台部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのホールシステムの製造、販売を手掛ける。

 従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したセレブライト社が手掛けるモバイルデータソリューション事業が急成長している。今後、需要拡大の見込めるM2Mとともに、情報通信分野の成長市場でグローバル展開を図ることにより、成長を加速させる方針だ。