東京でいつも感心するのは、ゴミに関することだ。たいていの人が、ペットボトルはラベルを外して潰し、テトラパックは洗って切り開いて束ね、ちゃんときれいに早朝に出している。これはすごい。

 悪い意味で感心するのは、道端にひどい出し方をして、町の景観を損ねている人たち。出してはいけない布団やら電化製品を放置する人もいる。よくこんなことができるなあと思う。

 しかし、何と言っても一番感心するのは、そのゴミを集めている人たちで、トラックの上で、心ある人が出したゴミも、心無い人が出したゴミも、きちんと仕分けしながら回収していく。ゴミ集めも、未だに半分手仕事で、整然としている。

経済合理性で動くドイツのゴミ収集

 ドイツでは、ペットボトルや、ビールの瓶などはデポジット(預り金)が掛かっていて、戻すとその料金が返ってくるので、皆、指定されたところに持って行く。デポジットがないと、リサイクル分は相当減るだろう。

 普通ゴミは、各家庭が自治体から借り受けたゴミ用コンテナに捨てる。たいてい家の前の道にゴミ用コンテナの置き場が作ってあるので、収集の日には何もしなくてもゴミ屋さんが空にしてくれる。

 ゴミ収集車はオートメーション化されているので、ゴミ屋さんは、下に車輪のついているコンテナをゴロゴロ転がしてきて、その車のフォークリフトになっているところにカチッとはめ込み、ボタンを押せばすべて自動で進む。あとは、空になって下りてきたコンテナを外して、また、ゴロゴロと元あったところに戻しておけば良い。

 コンテナは大きさによって借り受けの値段が違うので、ゴミの削減に真面目に取り組めば経済的な見返りがある。瓶のデポジットも同じだが、経済的な見返りなしに、道徳心だけに頼ってドイツの大衆を動かすことは難しい。ちなみに普通の家庭ゴミの収集は、2週間に一度だ。日本人は甘やかされ過ぎ。

 一方、包装材(ポリ袋、プラスチック容器、缶、発泡スチロールなど、紙とガラス以外のすべての包装材)は違ったルートで集められているので、たいていの自治体では、3週間に一度、既定の袋に入れて家の前に出しておくと、収集される。

 こちらのほうは、人がゴミ袋を手作業で集めているところが、日本のゴミの収集風景とよく似ている。さらに、出してはいけない違反のゴミが置いていかれて、収集のあと袋が散らかり、しばしば道が汚くなるところも似ている。

EU諸国では不法なゴミ処理で儲ける暴力組織も

 とはいえ、日本もドイツも、ゴミはちゃんと管理されている。集められたゴミがそのまま行方不明になったり、不法投棄されたりということもない。すべてが理想的にリサイクルされているかどうかは疑問だとしても、ドイツでは、リサイクルされそこなったゴミも、少なくとも焼却炉までは辿り着いている。