先日、ある会社の前を通ると、不当解雇された非正規職労働者たちが集まってデモをやっていた。彼らの主張をじっくり聞くことはできなかったが、韓国ではいま至る所でデモを見かけることができる。
自分を乙と呼ぶ社会的弱者
もっとも昔のように軍事政権に向けて一丸となって市民が立ち上がることはほとんどなくなり、代わってそれぞれの利益団体が自分たちの権利を主張しながら小規模で道を占領することが多くなった。
「私たちはいつも乙です」
これは、最近話題になっている問題作映画「カート」の中でその背景となっている大型スーパーの従業員休憩室に張られている標語である。
「乙」というのは、契約書などに書かれる「甲」と「乙」のうち乙のことで、転じて社会的立場上の弱者を意味する。
映画に出てくるスーパーの従業員たちのうち、正社員は少なく従業員休憩室を使用する人たちはたいていが非正規職の従業員である。
しかも気楽な専業主婦のパートとは違って、ほとんどはその給料で生計を立てているような人たちである。そういった人たちが会社の事情により、ある日突然不当解雇されてしまう。
映画は、不当解雇された乙の人たちが団結して会社に立ち向かうという内容である。