元米国務省日本部長のケビン・メア氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(11月2日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。中国漁船によるサンゴ密漁問題を取り上げたほか、日米安全保障や、政治とカネをめぐる問題などについて語った(今回は東京からの出張放送)。
政府はサンゴ密漁の中国漁船に対し強い態度で臨むべき
中山 今回は、元米国務省日本部長のケビン・メアさんにお話を伺います。
まずは、東京・小笠原諸島の周辺海域で中国漁船によるサンゴ密漁が急増している問題について。菅(義偉)官房長官が10月31日に発表した記者会見の内容を元に、事実関係を整理したいと思います。
10月30日に海上保安庁の航空機による哨戒を行った結果、小笠原諸島周辺海域ならびに須美寿島(すみすじま)および鳥島(とりしま)の周辺海域において、中国サンゴ漁船と見られる外国漁船が212隻確認されました。
海上保安庁は大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を取っており、違法操業等を行う外国漁船の取り締まりを強化。その結果、10月5日、16日、23日、27日および30日に配備中の巡視船が中国サンゴ漁船の船長を逮捕しました。
また外務省では、外交ルートを通じた注意喚起を行うとともに、累次にわたり中国側に遺憾の意を表明し、再発防止を求め、今後とも自国の領土・領海・領空を守るという断固たる決意を持ってこれに対処していくとしています。
海上保安庁によると、9月15日に小笠原諸島周辺で確認された中国漁船は17隻でしたが、10月1日に42隻に増え、13日に46隻、21日に51隻、23日には113隻を数え、その数は日を追うごとに増加しています。
今後は、警察権を有する現場の海上保安庁の対応をより効果的かつ効率的に強化していくことが求められますが、メアさんはこの問題をどうご覧になっていますか。
メア 本来ならば密漁を行った中国漁船を排除するべきですが、数が多いですし、排除だけではこれからも違法操業が繰り返されるでしょうから、逮捕する必要があります。この問題が他の島々に広がらないように、日本政府は一刻も早く対応するべきです。
ただその際、中国政府の反発を覚悟しておいたほうが良いでしょう。というのは、これは単なる民間漁船による行為ではなく、中国政府が裏で指示している可能性が高いからです。
東シナ海や南シナ海の海洋覇権を狙っている中国の行動は、今後さらにエスカレートすることも予想されます。中国漁船が日本の排他的経済水域に侵入しているのは明らかですから、日本は海上保安庁や警察、場合によっては海上自衛隊の投入も視野に入れながら、強い態度で対処するべきではないでしょうか。