10月23日、カナダの首都オタワで、男がカナダ軍兵士を射殺し、さらに連邦議会議事堂に侵入して銃を乱射するという事件が発生した。男は警官隊と銃撃戦の末、射殺された。

 男は敬虔なイスラム教徒で、海外に出国するために旅券を申請していたが、審査によって交付されていなかった。母親には「シリアに行く」と話していたという。イスラム国支持者かどうかは現時点で不明である。

 また、その2日前の同20日には、やはりカナダのモントリオールで、イスラム国支持者とみられる25歳の男がカナダ兵2人を轢き、うち1人を殺害する事件もあった。

 カナダはかねてから米軍のイラク空爆を後方支援しており、イスラム国が敵視していた。9月22日にイスラム国幹部がツイッターで支持者に呼びかけたテロ指令でも、標的国として挙げられていた。

 カナダ政府は10月3日に空爆への参加を表明し、同21日にはカナダ空軍の戦闘爆撃機「CF-18 ホーネット」6機が空爆作戦に合流するために現地に入っている。一連の事件はそんなタイミングで発生した。

 他方、アメリカでも同23日、ニューヨークで男が手斧で警察官を襲撃する事件が発生した。男はイスラム過激派の影響を受けていた可能性があり、現在、警察が背景を捜査しているという。

 この他にも、例えばこの9月にも、オーストラリアでイスラム国支持者が警察官を襲撃したり、アルジェリアでイスラム国支持者がフランス人を殺害したりする事件が起きている。

 イスラム国とアメリカの戦争は、もはや現地の戦場だけのことではなく、世界中に影響を与えている。各国でイスラム国を支持する若者が生まれ、実際に義勇兵としてイスラム国に合流しようとしたり、あるいはイスラム国と敵対する国でテロを起こそうとしたりする動きがある。

 すでに世界80カ国から外国人義勇兵がイスラム国に参加している。イスラム国の兵力は3万数千人程度とみられるが、うち半分近い1万5000人もがシリア・イラク両国以外の出身者だ。大半は近隣アラブ諸国の出身者だが、欧米国籍者も3000人ほどいるようだ。日本でも、10月6日にイスラム国に参加しようとしていた北海道大学の学生がいたことが判明し、大きく注目された。