土地家屋調査士の関和孝氏(兵庫県土地家屋調査士会総務部長)と中島芳樹氏(大阪土地家屋調査士会常任理事)をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(10月19日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。土地家屋調査士の仕事について紹介したほか、土地境界のプロから見た尖閣諸島問題や土地に関する様々なテーマを解説した。

震災で倒壊した建物の再建にも貢献

中山 今回は、土地家屋調査士の関和孝さんと中島芳樹さんのお2人にお話を伺います。まず、土地家屋調査士の仕事内容や歴史について教えていただけますか。

関和 「士」のつく「士業」には色々ありますが、土地家屋調査士は弁護士や司法書士と同じく法務省が監督官庁を務める国家資格です。

 「不動産に係る権利の明確化を期し、国民の信頼に応える」という使命に基づき、具体的には皆さんが所有する土地や建物などの不動産の物理的状況を調査・測量し、不動産取引または管理を公正かつ安全に行うことに寄与しています。

 昨今では東日本大震災の発生後、津波で倒壊した建物の権利の明確化に土地家屋調査士が貢献しました。復興に際してまず必要なのは、倒れた住宅や建物を建て直すことです。ただ、津波等の被害によって土地の境界が分からないケースもあり、その時に復元する資料があれば再建もスムーズに行えるわけです。

 他にも、例えば土地の境界をめぐってトラブルが起こった場合に境界確定訴訟という裁判で解決が図られますが、それを未然に防ぐために土地家屋調査士が活躍しています。

 土地家屋調査士の歴史は古く、1950年(昭和25年)7月31日に土地家屋調査士法の制定にともなって誕生してから今年で64年目を迎えます。

 かつて、不動産にかかわる固定資産税は国税として税務省が一括徴収していましたが、昭和24年の税制抜本改革によって市町村税に変わり、それまで税務署が管轄していた「土地台帳」と「家屋台帳」が、謄本というかたちで法務局の所管に移されました。

中山 土地家屋調査士と測量士は似ている気がしますが、どう違うのですか。

関和 確かに、我々も現場に赴いた時によく「測量屋さん」と呼ばれることがあります。いちいち否定はしていませんが(笑)