本記事は9月26日付フィスコ企業調査レポート(ワールドホールディングス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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持株会社体制に移行、新規事業やM&Aの取り組みを強化

 ワールドホールディングス<2429>は、「人材・教育ビジネス」「不動産ビジネス」「情報通信ビジネス」の3つの事業を柱とした持株会社。事業部門ごとの迅速な経営判断や新規事業・M&Aへの取り組みを強化し、企業価値の更なる向上を目指すため、2014年7月に持株会社体制に移行した。

 8月5日に発表された2014年12月期第2四半期累計(2014年1月-6月期)の連結業績は、売上高が前年同期比17.6%増の34,023百万円、営業利益が同58.1%増の1,824百万円となり、売上高及び各利益は半期ベースでの過去最高を更新した。主力の人材・教育ビジネスでは、スマートフォン関連の電機・電子部品メーカーやeコマース企業の物流拠点向けなどで派遣・請負需要が好調に推移した。また、不動産ビジネスでも、首都圏、東北エリアでの新築マンション販売が順調に推移している。

 2014年12月期通期の業績予想については、売上高が前期比25.1%増の70,620百万円、営業利益が同26.4%増の2,680百万円と期初計画を据え置いている。ただし、第2四半期までの営業利益の進捗率は68%に達しており、第3四半期以降も事業環境に大きな変化は見られないことから、利益ベースでは会社計画を上回る可能性もある。

 中期経営計画では、2016年12月期に売上高1,000億円、営業利益50億円、ROE20%以上とする目標を掲げている。人材・教育ビジネスは、労働者派遣法の改正が実現すれば派遣事業者の集約化が進むとみられ、同社には追い風となりそうだ。また、不動産ビジネスでは、東北での営業エリア拡大や近畿エリアへの新規進出効果が期待できる。情報通信ビジネスでは、SIMフリー化による携帯販売店の業界淘汰でシェア拡大のチャンスが生まれるほか、法人営業の強化も同時に行っていく。さらに、新規事業の創出やM&Aも積極的に行っていく方針で、計画達成の可能性は高いと考えられる。

 株主還元では、配当性向20%以上を目標としている。2014年12月期の1株当たり配当金は14.3円(配当性向20.0%)を予定しているが、業績が好調に推移していることから増配の可能性は高い。2015年12月期以降も業績の拡大基調が続く見通しで、配当成長も期待できる企業として注目されよう。

Check Point

●7月に持株会社体制に移行、新規事業やM&Aを機動的に実行
●第2四半期業績は売上、利益とも半期ベースの過去最高を更新
●2ケタ増収増益の通期予想を据え置き、上期までで高進捗

事業概要

7月に持株会社体制に移行、新規事業やM&Aを機動的に実行

 同社は1993年2月に北九州市に設立。業務請負業(アウトソーシング)からスタートし、現在では「人材・教育ビジネス」「不動産ビジネス」「情報通信ビジネス」の3つを柱とし、事業を展開している。各ビジネスユニット(事業単位)と子会社は、図のとおりとなる。