マット安川 今回はゲストに評論家・西村幸祐さんを迎え、日本のメディアが抱える問題点や、特に話題の朝日新聞誤報問題やNHK偏向報道疑惑、これらの国外に対する影響力など広く現状をお伺いしました。

『JAPANデビュー』訴訟でNHKの罪が裁かれる日は近い

西村 幸祐(にしむら・こうゆう)氏
ジャーナリスト、作家。音楽雑誌編集などを経て、主にスポーツをテーマに作家、ジャーナリストとしての活動を開始。2002年の日韓ワールドカップ取材以降は拉致問題や歴史問題などに関する執筆活動を行い、2011年4月『JAPANISM』を創刊。『幻の黄金時代 オンリーイエスタデイ'80s』(祥伝社刊)など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

西村 今年、衆議院の総務委員会で三宅博さんという議員が、NHKに外国人の職員は何人いるのかと質問しました。NHKは答えられなかったんですが、じっさい外国からの影響力を強く受けているのは間違いないでしょう。

 例えば、中国中央電視台の日本支局はNHKの中にあります。外国メディアとの業務提携、相互乗り入れはよくあることですが、あそこはプロパガンダ機関ですよ。中国共産党が支配する全体主義国家である中国のメディアなんですから、特派員はほとんど工作員と言っていい。

 カナダにチャイナデイリーという、やっぱり中国共産党がやっている英文のメディアがあります。そこの記者と新華社の記者が、カナダの首相をスパイしていると起訴されました。

 カナダの場合、そうやって起訴できるからいいんですけど、日本にはまだスパイ防止法がありません。特定秘密保護法が今年施行されるとはいえ、まだザルみたいな状態だけにNHKの現状は危険です。

 そんな中で彼らはひどい番組を作っています。いい例が5年前に放映された「NHKスペシャル シリーズ『JAPANデビュー』」です。第1回のテーマは日本は台湾をどのように統治したかということですが、非常に過酷な植民地統治を行ったという内容になっている。

 これに視聴者から怒りが噴出して、1万人を超える日本人と台湾人が集団訴訟を起こす事態になりました。しかも2審の東京高裁は原告敗訴の1審判決を破棄して、NHKに損害賠償を命じる逆転判決を出したんです。

 NHKは上告していますがおそらく棄却されると思います。そうなれば今まで裁判に負けたことのなかったNHKの罪が確定する。これほどの大問題をほとんどの人が知らないのは嘆かわしいことです。

「ニュースウォッチ9」は韓国の言論弾圧を容認した?

 産経新聞の前ソウル支局長が起訴された一件で引っかかったのは、NHKの看板番組、ニュースウォッチ9の報道です。スポーツニュースに変わる直前、21時40分か45分ぐらいに、キャスターが今入ったニュースとして事実関係だけを伝えて、それで終わりでした。

 だいたい「今入った」というのはウソです。共同通信が第一報を配信したのは20時20分ぐらいですし、産経新聞は同36分ごろにはかなり長い原稿を配信しています。