カンボジアのテレビ局として初の「ABU*デジスタ・ティーンズ」(以下、デジスタ)に参加したいと、私のカウンターパートであるカンボジア国営テレビ局の副局長パン・ナッ氏(通称・殿様、その理由はこちらをご覧ください)から相談を受けたのは、今から1年以上も前のことだった。

*ABU: アジア太平洋放送連合

 どうやら、殿様は招待されて日本のNHKで見てきたこのプロジェクトのワークショップを、いたく気に入ってしまったようだった。

またもや深く考えずに始まったカンボジア初のプロジェクト

『デジスタ』をやりたいと言い出した副局長パン・ナッ氏、通称“殿様”(写真提供: 筆者、以下同)

 「今年是非やりたいです、ジュンコさん」

 あのねえ、殿様の気持ちは分かる。分かるんだけど、その頃はカンボジア初のロボコンをやりたいと言われたばかりで、私はどうやって組織を作って、どうやってお金を集めるかずっと悩んでいた最中だったのである。

 なのに、別のもやりたいって・・・。

 「分かった。分かりました、殿様。だけど、そんなにいくつも同時にはできないでしょ? 殿様、ロボコン終わってからデジスタやりましょう。だから来年」

 ということで、今年やることになったのである。

 つまりカンボジアのテレビ局ってこんな感じなんですね。以前、カンボジア人は足し算と掛け算で物事を考えるということを書いたが(詳しくはこちら)、つまり、「あれも」「これも」やりたいのである。

 じゃあ、やるのにお金どうするのよ、とか、人はどうするのよ、ということになると、それはどうも後から考えればいいやと思っている節がある。日本だったら、それをやるためのお金や人の算段は先に考えるのが普通だと思うが、どうもこのあたりは相変わらず私にとって「カンボジア人のナゾ」なのである。

何かをやるには、まず「企画書」の日本のテレビ

 ところで、日本のテレビは、本当に多くの専門性のある人間が様々に関わって営業、編成、制作をし、放送されている。

 だから、まずはどんな番組をどの時間枠に編成し、その企画内容をどうするか、そして民放の場合ならば、その番組をどんなスポンサーに売るか、あるいは、もともとスポンサーが決まっている枠に、そのスポンサーの嗜好など加味しながらどのような番組企画を立てるか、といったことに多くの時間が割かれている。