本記事はLongine(ロンジン)発行の2014年7月17日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 笹島 勝人
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投資家に伝えたい3つのポイント
●滋賀県知事選挙の与党敗北と今後の地方選挙を意識して、政策は地方と高齢者重視が強まると考えます。
●次の国政選挙が想定される参議院選挙をみると、過去の投票率は人口が少ない・高齢者率が高い都道府県ほど高い、納得できる傾向がやはりあります。
●先月発表の成長戦略にも地域活性化や高齢者政策があります。しかし株式市場とは縁遠い感じで、相場テーマは夏枯れの予感が漂います。
滋賀県知事選挙で与党敗北
滋賀県知事選挙が7月13日に行われ、元民主党衆議院議員が当選し各報道では「与党敗北」の文字が躍りました。敗因分析も共通で、集団的自衛権の閣議決定や、東京都議会の自由民主党議員のセクハラ野次問題、と指摘されています。さらに、政府・与党はアベノミクスの恩恵が地方には及んでいないとして、地方活性化策を重視するだろうという見立ても共通しています。なぜなら今後、2015年春の統一地方選挙までの間、5つの県知事選挙があるからです。政府・与党は、滋賀県知事選挙の勝利を楽観視していたようなので、なおさら挽回を期して地方は政策的な重要度も高まりそうです。
北海道江差町長選挙の投票率は79.99%
同じ日、北海道の江差町という小さな町で町長選挙が行われました。地元では29歳の現職最年少首長の誕生が話題となりました。関心を持ったのは、私自身、北海道出身であり、所縁がある土地という個人的理由もありますが、それ以上に人口わずか8,500人、全国に多くある高齢化と過疎化が進む町の投票率が79.99%ということでした。滋賀県知事選挙の50.15%を3割近く上回るだけでなく、有権者10人中8人が投票したということです。病気や仕事などやむを得ない事情のある人以外は、ほとんどの人が投票に行ったのではないでしょうか。これだけ高い投票率の選挙だと、民意を反映した結果と言わざるを得ません。
人口が少ないほど投票率が高い傾向
次の国政選挙は衆議院の解散がない限り、2016年7月の参議院選挙になります。以前から気になっていたので、図表1にあるように有権者人口と投票率の関係を、「公益財団法人 明るい選挙推進協会」の資料から2010年7月の参議院選挙を例に都道府県で見てみました。結果は驚くことではありませんが、やはり傾向的に有権者人口が少ない県ほど投票率が高いといえそうです。特に、有権者人口が300万人未満、首都圏をはじめとする大都市圏以外のいわゆる地方では、有権者人口が少なくなるほど近似線の変化が大きくなっています。人口が少ない地域では、どのような人々が投票率を押し上げているのでしょうか? 答えは驚くものではありません。