「女性が輝く日本へ?」 「それはなに?」 「私に関係あるの?」

 安倍政権が掲げる「女性が輝く日本へ」とのスローガンを耳にし、こう感じた読者は男女問わずいないだろうか。

 非正規雇用、家庭内で抱え込まれる介護・育児の負担、長時間就労などにかかわる問題が解決されないまま、「女性の就労(=労働力化)」だけ促されても、多くの女性はそう簡単には輝けないだろう。

 さらに、日本政府は、ある女性たちを忘れているのではないか。それは海外出身の女性たちだ。

 日本で暮らす外国人女性の中には、長年にわたり日本で暮らし、就労し、結婚・出産を経験した人も多いが、困難に直面している人も少なくない。彼女たちは果たして「女性が輝く日本へ」というスローガンの対象になっているのだろうか。

 一方、外国人女性の中には、自ら助け合いの場をつくり、連帯する動きが出るなど、「自分の輝く場」をつかみとろうと模索し、奮闘している人もいる。そんな女性たちが集まる外国人女性支援組織「KAFIN(カフィン)」の道のりを3回にわたり紹介したい。

それぞれの物語を共有し、支え合う女性たち

 「自分のよいところを紹介し合いましょう」

 司会のフィリピン人女性がにこやかに、明るい声で、こう呼びかけた。会場には、フィリピン人が多いが、日本人も少なくなかった。日系ブラジル人とウクライナ人も参加している。来日して10年以上の人も少なくない。中には来日20年ほどを数える人もいる。出席者の中心は女性だが、男性も数人参加していた。

 今からおよそ5カ月前、その日は3月8日の「国際女性の日」に合わせてフィリピン人女性支援組織「KAFIN」の会があった。

 KAFINは在日フィリピン人女性を対象に、DV被害者やシングルマザーらの支援を行う団体だ。フィリピン人女性やこれを支援する日本人が協力して組織運営に当たり、日本の暮らしの中で困難に陥った外国人女性たちが助け合う場を形成している。

 都内からおおむね1時間弱のところにあるコミュニティスペースでKAFINのイベントが開かれ、数十人が集まった。

 広々としたスペースの真ん中に、参加者たちは椅子を持ち寄って楕円形に座った。和気藹々とした雰囲気の中、久しぶりに会う仲間と談笑したり、初対面の者同士が挨拶したりする。

 部屋の入り口付近には、料理やお菓子がずらりと並ぶ。具をたっぷり入れたサンドイッチや海苔巻もあれば、目移りするようなさまざまなおかず、カラフルなクッキーやケーキもある。子供連れの参加者も多く、子供たちがにこにこしながら部屋の隅で仲よく遊んでいて、全体的になんともリラックスした雰囲気だ。