7月30日に総務省から発表された6月の全国消費者物価指数(全国CPI)は、「生鮮食品を除く総合」(コア)ベースで前年同月比▲1.0%。マイナス幅は前月から0.2%ポイント縮小した。コア前年同月比の押し上げには、「生鮮食品を除く食料」「電気代」「都市ガス代」「被服及び履物」などが寄与。一方、押し下げには、「ガソリン」「家賃」などが寄与した。

 国際商品市況から影響を受けやすい品目が除去されているため、消費者物価の基調をより明確に示していると考えられる「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」(いわゆる欧米型コア)は、前年同月比▲1.5%で、マイナス幅は0.1%ポイント縮小した。

 また、CPIの足元の方向を把握する上で使い勝手がよい季節調整済指数(2005年=100)は、コアが99.2(前月比▲0.1%)、欧米型コアが97.1(同横ばい)になった。

 7月の東京都区部消費者物価指数(全国CPI)は、「生鮮食品を除く総合」(コア)が前年同月比▲1.3%で、マイナス幅は前月から変わらず。コア前年同月比の押し上げには、「電気代」「都市ガス代」「被服及び履物」などが寄与。一方、押し下げには、「ガソリン」「生鮮食品を除く食料」「家賃」「外国パック旅行」などが寄与した。

 「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」(いわゆる欧米型コア)は、前年同月比▲1.4%で、こちらもマイナス幅は動かなかった。

 ただし、季節調整済指数(2005年=100)は、コアが98.4(前月比▲0.2%)、欧米型コアが97.3(同▲0.1%)。後者の下落は、デフレに歯止めがかかっていないことを示唆している。

 「高度」が低く、しかも不安定であっても、循環的には景気が一応は上向いていることから、デフレ圧力が景気後退期よりも軽減している面はあるだろう。しかし、デフレから日本経済が脱却する道筋はまったく見えてきていないものと、筆者は考えている。

 新興国・資源国の高成長と資源価格上昇に強く依存した景気・物価シナリオを描いている日銀は、7月15日に行った4月展望レポートの中間評価で、2011年度のCPIコアについての政策委員大勢見通し中央値を前年度比+0.1%に据え置いた。だが、2011年8月にはCPIの基準年改定が行われる予定で、月次のCPIコアは前年同月比マイナス幅が拡大する方向で数字が置き換わる可能性が高い。