今回は農業ワーキンググループの農協改革提言の3つ目の大きな提案である金融関係について述べましょう。

 ワーキンググループの提言は、こうです(注:「単協」とは市町村にある地域の農協。「農林中央金庫」は農協、漁協、森林組合などの農林水産業者の協同組織により設立された金融機関)。

【単協の専門化・健全化の推進】

○単協が農産物販売等の経済事業に全力投球し、農業者の戦略的な支援を強化するために、単協の専門化・健全な運営を推進する。

○単協の経済事業の機能強化と役割・責任の最適化を図る観点から、単協はその行う信用事業に関して、以下の選択を行い、不要なリスクや事務負担の軽減を図る。

 ・農林中央金庫(信用農業協同組合連合会)に信用事業を移管し、単協は、信用事業に関する業務を行わない。

 ・農林中央金庫(信用農業協同組合連合会)に信用事業を移管し、単協は、農林中央金庫(信用農業協同組合連合会)の統括の下で窓口・代理業を実施し契約に基づいた業務に応じた報酬を得る。

○単協の行う共済事業については、単協は、全国共済農業協同組合連合会の統括の下で窓口・代理業を実施し契約に基づいた業務に応じた報酬を得る。

支店に融資の権限がない「あり得ない」銀行

 農協(各地の単協)の問題点として、農産物や農業資材の売買を行う「経済事業」が赤字であることはよく指摘されるところです。経済事業の赤字を、農協は「信用事業」(銀行業務)と「共済事業」(保険業務)で埋め合わせしているわけです。しかし、そうした赤字補填ができているから農協は経済事業に本腰を入れない、だから信用事業と共済事業を取り上げてしまえ、というのが農業ワーキンググループの考えなのでしょう。筆者は銀行にも保険会社にも勤務経験がない全くの金融素人ですが、それでもこれくらいのことは分かります。