ここ数年の“見える化”ブームの裏で、現場の頭を悩ましている課題がある。それは「費用対効果をどのように説明するか」である。
ご存じの通り、昨今はビッグデータ時代。膨大なデータから経営上重要な気づきを得ることの必要性が活発に論じられている。これも“見える化”を加速させる大きな一因となっている。
しかし現実に目を向けてみると、データを駆使した“見える化”は本当に普及しているのだろうか? もしかしたら、システム業界とメディアが盛り上げようとしているだけ、ということはないか? 現にメディアに取り上げられている事例を見ると、登場する企業にどうも偏りがあるように見受けられる。
筆者の現場感覚では、この手の話に興味を持たない企業はまずないと言ってよい。ただし、実際に巨額の投資をしてまで何かをやろうとしている企業は一気に激減する。
また、すでに何らかの「見える化」への取り組みをしている企業でも、なかなか成果が出ず、社内で評価されていないところが多い。システムを作る側、分析する側、いずれも精一杯の努力をしているのに報われていない。
これらのケースの共通点として、「費用対効果をうまく説明できない」という点が挙げられる。
効果が説明できないから理解が得られない。理解が得られないから取り組みをスタートできない、あるいは評価されない、という負のサイクルに陥って苦しんでいる方は多いのではないだろうか。
「見える化」という取り組みの特徴
費用対効果のことを言う前に、まず「見える化」と言われるものの特徴を理解しておく必要がある。