本記事はLongine(ロンジン)発行の2014年4月13日付アナリストレポートを転載したものです。
執筆 笹島 勝人
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投資家に伝えたい3つのポイント
●アメリカ次第の日本株を見ていると、「事実度」を重視しているようです。
●TOPIXとメガバンク株は2014年初から日数で約7割の日が、直前のNYダウの騰落に追随しています。
●政策期待が高まっていますが、市場への資金流入など「直接度」も問われているようです。
アメリカ次第の日本株
日本の株式市場は、一進一退を繰り返しています。背景は、アメリカの経済と金融政策、日本銀行の追加緩和、アベノミクス、を巡る期待と思惑の振幅があげられます。しかし一番の要因は、なんといってもアメリカでしょう。アメリカの経済が上向きにあることを歓迎する反面、回復傾向が強まると金融政策が引き締めに向かい株式市場だけでなく新興国経済に水を差しかねないと警戒するといった、市場心理の狭間で大きく揺れているようです。特に毎月の雇用統計の発表はイベントと化し、一部ではまるでお祭りのような騒ぎが繰り広げられています。
アメリカより下がり、戻りもよくない
図表1にあるように、2014年に入ってアメリカと日本の株価は下落しました。しかし、NYダウは4月時点で年初の水準まで戻りました。これに対し、TOPIXはNYダウよりも大きく下がっただけでなく、まだ年初の水準を取り戻せていません。この間の世界の株式市場の懸念材料は、アルゼンチンの通貨安などの新興国不安、ウクライナ情勢の緊迫でした。日本は直接的な影響という意味では、いずれも先進国の中では最も縁遠い国の一つです。過去に、「アメリカがくしゃみをすると、日本は風邪をひく」とよく言われていました。昔話ではなく現在も、その関係が変わっていないことを痛感します。経済がグローバル化した、ということで片づけるのも納得がいきません。