南国新聞 2014年2月27日号

 2月22日、紀伊國屋・KLCC店で、第7回インターナショナル・マンガ・アワード(国際漫画賞)の受賞式典が行われた。

中村大使(左)より、賞状を授与されるジントさん(右)

 2013年度は、世界53カ国・地域から256作品の応募があり、その中から見事マレーシアの人気漫画家・ジントさんの作品「USER(ユーザー)」が銅賞に輝いた。この日、在マレーシア日本国大使館中村大使より、賞状及び記念品が授与された。

 国際漫画賞は、2007年に外務省が、漫画文化を通して国際交流を図り、相互理解を深めることを目的に設立された。

 そして、同賞は、応募作品の中から評価委員会によって、海外で漫画文化の発展に貢献した世界各国の漫画家に贈られる。

マレーシアの人気漫画家、ジントさん

 スラスラと鉛筆を動かし、キャラクターを描き上げていく。細いペンを駆使して、下絵をなぞり、影を付け、白黒のコントラストを加えていく。ものの数分で、見事に躍動感のある絵が生まれる。

受賞作品「USER」

 1998年より本格的に漫画家として創作活動をスタートさせ、これまでに10作品以上の傑作を生み出してきた。現在、マレーシアを代表する人気漫画家のひとりだ。

 「昔から、日本の漫画が大好きでした。ゲゲゲの鬼太郎や仮面ライダーは、登場するキャラクターやストーリが好きで何度も読み返していました」と、語るジントさん。

 どうやって漫画の書き方を学んだのかと尋ねると、「紀伊國屋があったおかげです」と、笑いながら答える。

 当時、日本の漫画が豊富に揃う紀伊國屋に幾度となく足を運んでは、日本の漫画をくまなくチェックし、絵のタッチやストーリについて徹底的に研究したという。

 デビュー当時から彼を知るアート・スクウェア・クリエーション社(Art Square Creation SDN BHD)のクリス社長は、「彼は本当にすごい人だ。彼の創作意欲にはただただ感心させられる」と、太鼓判を押す。作品の構成からすべてのページにおける作業工程を、一貫して一人でこなす。

 毎日12時間以上、机に座りひたすら絵を描き続ける。「今年は年内に2本、新しい作品を発表する予定です」と、今後の活動にも精力的なジントさん。その物静かな雰囲気の奥には、非常に情熱的な創作意欲が溢れていた。人気漫画家の今後の活躍から益々目が離せない。

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