ニッケイ新聞 2014年1月24日

 「伝統音楽を守りながら伝統音楽を壊す」をモットーに、世界で活躍する津軽三味線奏者の大野敬正さん(38、新潟)がこの度初来伯し、17日、聖州カラグアタツーバ市でバンド「ガイジン戦隊」が開催した『第1回カラグア日本祭り』に出演した。

カラグア日本祭りで熱唱する大野敬正さん

 8歳で津軽三味線を始め、12歳という若さで名取を襲名。7年前、「伝統楽器をこのまま終わらせたくない。伝統を進化させよう」と、海外普及を目指してパリに移住した。

 現代楽器を取り入れた斬新な演奏で、欧州を中心に活動をしている。これまで公演に赴いた国は22カ国。アフリカ開発会議(TICAD)や10年のFIFAW杯など公式行事にも招かれている。

 同市生まれの「ガイジン戦隊」は、アニメや特撮の主題歌を専門とするブラジル人によるロックバンド。ボーカルのノルダン・マンスさん(32)は、「ポルトガルであったアニメ・フェスティバルで大野さんの演奏を聞き、好きになった。自分たちのスタイルと似ていると思った」と彼との出会いを語る。

 さらに、それぞれが所属する事務所の関係者同士が知り合いだったことから、今回自らが主催した祭りに招へい。満席となった市最大のマリオ・コヴァス劇場で共演、アニメ「ナルト」や「聖闘士聖矢」の主題歌を熱唱し会場を盛り上げた。

ノルダン・マンスさん(ガイジン戦隊のサイトより)

 大野さんは「とても楽しそうに聞いてくれ、踊りだす人までいた。今度来るときは踊りやすく、ハッピーになれるような曲を作り、リオやサンパウロでも演奏したい」と笑顔を見せた。

 ノルダンさんも「できたら今年中にもう一回彼を呼びたい。来年は南米の他の国にも連れていければ」と意気込んだ。

 日伯、そして伝統と現代が手をつなぎ、日本文化を世界に知らしめるというユニークな取り組みが始まりそうだ。

※注:聖州=サンパウロ州

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