AsiaX(アジアエックス) 2013年12月24日

 最近、シンガポールで健康志向の高まりとともに、化学調味料や添加物を含まない食品を選ぶ人たちが増えている。このトレンドにマッチする「食べるスープ専門店 Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」がシンガポールに進出。同社は、1999年の創業時から、余計なものを使わない本格的な味づくりにこだわり、日本で50店舗以上を展開する。

 「当社は手間を惜しみません。甘さを出すために砂糖は使わず、たまねぎを飴色になるまでじっくり時間をかけて炒めて、たまねぎ本来の甘みを出す。パンプキンスープ用に糖度の高い北海道の品種のかぼちゃを探し出して使う。シンガポールでは、スープのベースや食材を日本から取り寄せ、日本そのままの味を提供します。インテリアにもどんぐりの木など、日本の木材を使います」

 Soup Stock Tokyo ( Asia )のマネージングダイレクター、畑大輔さんはこだわりをこのように語る。そして、シンガポール進出は、一般によく言われる市場縮小傾向にある日本から、海外に活路を見出すためではないと強調する。

日本で10年、50店舗の目標を実現し、海外へ

畑大輔さん

 「実は10年ほど前から、ロンドンやニューヨーク、パリなどで出店しないかと熱心なオファーをいただいていました。大変光栄であり、当社としても海外市場への挑戦に関心がありました。しかし、まずは日本での事業を安定軌道に乗せることが先決でした。

 また創業者で代表の遠山正道には『10年続けることでやっとスタンダードになれる』『直営出店で50店舗』という目標がありました。これらの目標を実現したことで、海外展開を当社の人材にとってやりがいと成長の機会とし、新しいことに挑戦することでより魅力的なブランドにしたいという思いから、海外進出を決めました。日本の市場が縮小傾向だから海外進出しなくてどうするといった、数字の論理に煽られてのシンガポール進出ではありません」

 シンガポールを選んだ理由として、日本からの距離、時差、生活水準、外食好きな国民性、対日関係のリスクの低さなどが考慮された。

 「スープストックトーキョーよりも後発ですが、シンガポールにはすでにスープのチェーン店があり、人気があることは承知していました。私たちは東京で食べるスープという文化を浸透させるのに10年かかりました。その点、ここにはすでにスープ文化のベースがある。競合相手と切磋琢磨しつつ盛り上げていきたいと思っています」