バンクーバー新報 2013年11月7日第45号

 精神病を患った人々へのサポートを提供する非営利団体、コースト・メンタル・ヘルスは、その活動のひとつとして、職業訓練を通じて社会復帰を助けるプログラムを実施しているが、今回そのプログラムに、町の落書き消しの仕事が加わった。

 コースト・メンタル・ヘルス協会CEOブリット・アンダーソン氏は、このような実際の仕事に従事できる環境が整うことは、初歩的な補助付き作業レベルのプログラムを終えた人たちに、次のレベルへ進む機会を与えるすばらしいことだと話している。

 コースト・メンタル・ヘルスの職業訓練は、同組織内のクラブハウスでの調理補助や清掃といったボランティア作業に参加するところから始まり、次の段階では、一時雇用プログラムと呼ばれる、道路の清掃などの作業に進む。

 これには15ほどのビジネス団体がコースト・メンタル・ヘルスに協力しているが、今回グッドバイ・グラフィティ社から提供されたのは、一時雇用プログラムを終了した人が対象となる「社会への復帰を目指したフルタイムの正社員待遇のプログラム」だとアンダーソン氏。

 さらに氏は、「若いうちに精神病を患った人は、高校も卒業できなかったり、仕事にも就けなかったりしている。今回のプログラムを通じて彼らは、責任感や時間を守るといった、社会生活の基礎を身につけることができる。またもらった給料をどのように管理していくかということについても、私たちは彼らをサポートしようと思う」と語り、仕事について報酬をもらうということが、精神病から完全に立ち直るのに非常に有効な手段であることを指摘している。

 しかし、精神病というレッテルが貼られると、たとえ技術や仕事への意欲があっても、彼らの求職を極めて困難なものにしているのが現実。そのため、精神病を患った人の失業率の割合は、様々な障害者のグループの中で最高となっている。

 「グッドバイ・グラフィティ社は、そのような人の助けになろうと真剣に考えている企業。彼らは精神をわずらった人々にも、一般の人と同じように権利も責任も有し、またすばらしい働き手になる素質を持っていることを知っている。このような企業と手を組むことが出来たことを光栄に思う」とアンダーソン氏。

バンクーバー新報・本紙記事の無断転載を禁じます。JBpressでは、バンクーバー新報の許可を得て転載しています)