韓国は今アイドル全盛時代と言えるほど、アイドルが続々と量産されている。そして、そのアイドルたちを支持する熱烈なファンたちはそれぞれ自分の応援するアイドルが最高だと思い、行き過ぎた行動をする場合がある。
アイドルにとってファンというのは、なければならない存在であるが、時にファンたちの過剰な関心によって苦しめられる場合もある。
アイドルの私生活を追いかける「私生活ファン」
中でもアイドルたちが一番嫌っているのはプライバシーを侵害するファンで、韓国では「私生活ファン」、略して「私生ファン」と呼んでいる。
「私生ファン」をもう少し具体的に言うと、オフィシャルなファンクラブとは一線を画した秘密のネットワークを保有し、非公開サイトやスマホの無料メッセージアプリなどを通じて、アイドルの動線を共有し、追いかける熱烈なファンである。
アイドルはもちろん、その家族や知人たちの携帯電話の番号、住民登録番号(韓国は生まれながらにして固有の住民登録番号を割り与えられている)までも調べ上げている。ファンと言うよりストーカーに近いプライバシーの侵害により社会的な問題となっている。
韓国のこうしたファン文化は H.O.T(1990年代初頭の男子アイドルグループで当時は「10代たちの大統領」とまで言われた)がデビューしてから増え始め、2000年代に入り「私生活ファン」という用語が生まれた。
日本でも人気のあった「東方神起」は、韓国の私生ファンにずいぶん悩まされたようだ。私生活でのんびりする暇もなく四六時中ファンに追いかけられ、電話番号をいくら変えてもすぐに彼らから電話がかかってくるというから恐ろしい。
また、メンバーたちが飲んだ缶や瓶はネットオークションにかけられ販売されていた。東方神起が解散し、JYJというグループになってからも私生ファンにプライバシーを侵害され続けた。
昨年、芸能専門メディア「ディスパッチ」はJYJのメンバーたちがファンに対し暴行を繰り返したとして、私生ファンに向かって罵ったり、打ったりして威嚇する声の録音ファイルを公開した。
これは瞬く間に社会問題となり、ネット上でも炎上した。一方、JYJ側は故意に自分たちを貶めるために録音ファイルを公開したとし、録音ファイルを最初に公開したマスコミを名誉棄損で訴えた。