1 はじめに
「日本は、第2次大戦後の国際秩序を認め、挑戦すべきではない云々」との中国の駐米大使の発言などは、菅義偉官房長官の発言にあるとおり論評するに値しないとは思うが、あまりにも酷すぎる。
彼らの底意には日本に勝利したのだ、敗戦国は戦勝国に従うべきであるとの剥き出しの大国・戦勝国意識がある。その意識が尖閣問題などに表れている。中国は、現在は確かに大国かもしれないが、彼の国が日本に勝利したなどと事実誤認も甚だしい。
2 中国の露呈した戦勝国意識の数々!
論評するに値しないとはいえ、中国の歴史誤認はあまりにも酷すぎる。無視することは容易だが、無視すれば、それが事実として独り歩きを始める惧れもあり、事実を確認しておきたい。また、管見ながら最近露わになり始めた戦勝国意識を考察したい。
(1)中国の駐米大使の論評するに値しない発言
10月10日付読売新聞によれば、中国の崔天凱・駐米大使は8日、ワシントン市内で講演し、第2次世界大戦の勝利は中国や米国を含む連合国の人々のものだとした上で、「日本の政治家はこれが第2次世界大戦後の国際秩序だと認めるべきだ。これに挑戦してはならない」と主張した。
崔氏は、「日本の一部の政治家は、米国に2発の原子力爆弾を投下されたから第2次世界大戦で負けたと思い込んでいる。だから、米国の反発さえ買わなければ何をやってもよく、他の国々の懸念を気にかける必要はないと信じている」とも語った。
これに対して、我が国の官房長官は、論評するに値しないとこき下ろしたが、当然だ。これが一国を代表する大使の認識なのである。
これ以外にも、同日夕、ブルネイで、李克強中国首相は、南シナ海の島々の領有権を巡る問題について、「争っていない他の国は介入すべきではない」と恫喝とも取れる強面発言をした。
これらは、剥き出しの大国意識、第2次大戦勝利者意識そのものだ。
(2)抗日戦争勝利記念式典の開催
昭和20年9月2日、「降伏文書調印に関する詔書」が発せられ、これに基づき、同日、東京湾上の米戦艦ミズーリにおいて、日本側を代表して重光葵外相、梅津美治郎参謀総長、連合国を代表して連合国最高司令官のマッカーサーが降伏文書に署名した。
対日戦勝記念日は、通常は、日本政府が公式に降伏文書に調印した1945年9月2日を指すことが多いが、中国などの対日戦勝記念日は、その翌日9月3日である。これは中華民国政府が9月3日から3日間を対日戦勝利の休暇としたためであると言われている。
中国では、この日は関連する各種のイベントが企画されるのが通常である。中国外交部の報道官は3日、抗日戦争勝利68周年を記念して談話を発表し、「3日は中国人民抗日戦争勝利68周年でもあり、(中略)正義が悪に勝ち、光が闇に勝ち、進歩が反動に勝った偉大な勝利である」と述べた。
いかにも中国が主体となって対日戦に勝利したかのように聞こえるが小生の僻みか? いずれの国も戦勝記念日を祝うことはあるが、それは静かに行うべき性質のものだ。