「フェイスブックに、来年(2014年)4月に企業に採用される内定者として少なくとも約1600人が、氏名や顔写真を誰でも閲覧可能な状態で公開されていた」という驚くべきニュースがあった。
利用している方ならご存じだと思うが、フェイスブックでは特定メンバーのグループを簡単に作成することができ、公開・非公開の設定により、そこでのやりとりをクローズにすることができる。
しかしながら、非公開にしたとしても、「グループそのものの存在」と「そこに属するメンバーが誰か」は公開されてしまう仕組みとなっている。
フェイスブックを利用した採用担当者に罪はあるのか
記事によると、内定者間の交流のために、一部上場企業を中心とした約20社の内定者が属するグループが作られた。グループを作る際に、そういう設定になってしまっていたということである。
そして、そのグループの管理者を企業の採用担当者が行っていることが多いという。ちなみに、そのなかには、ソーシャルメディア活用ガイドラインなどの整備を行う企業も含まれているようだ。
ニュースの論点としては、採用における「倫理憲章」、つまり「内定通知を10月1日以降に行うこと」というルールに反する行為ではないか、と憲章の形骸化を指摘するものであった。
だがその観点から言うと、筆者が就職活動をしていた20年近く前から、内定者の囲い込みや拘束などはもはや常態化していた。それがオンラインで行われるようになったという程度にしか感じられない。
また異なる論点としては、フェイスブックの「公開・非公開」設定の分かりにくさ、それを使いこなせないリテラシー、さらには「内定者にフェイスブック活用を強制するのか」など、ソーシャルメディアを使うことへの“糾弾”も見られる。
これについても いままでネットの普及に伴い採用担当者がメーリングリストや内定者向けのポータルなどを立ち上げ、その延長線上でフェイスブックの活用にたどりついたということであろう。「採用活動にITを活用しろ」「ネットを活用しろ」「SNSを活用しろ」と上層部からハッパをかけられ、手探りで取り組んできた採用担当者だけを非難するのは酷である。