これまで浮かんでは消えていった「カジノ構想」――。「東京五輪開催が決まれば、間違いなく動きだすのがカジノ法案」と鼻息を荒くしていた自民党関係者がにわかに活気づいている。

 というのも、東京オリンピック招致委員会がモデルとした2012年のロンドンオリンピックで、オリンピック開催に先駆け、オリンピックパークに隣接してオープンさせたのが欧州で最大級の商業施設、ウエストフィールド・ストラットフォード・シティ 。そのメイン“エンターテインメント”としてオープンしたのが実は、英国最大級のカジノ、アスパーズだった。

 ロンドンに続け!と、東京でも、「2020年夏季五輪開催都市」に決定したことを受け、カジノ構想実現に必要な法整備に向けた準備が加速化、急ピッチで進められている。

 10月15日に召集された臨時国会に、超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(IR議連、通称・カジノ議連、細田博之会長=自民党幹事長代行)が 、来年の通常国会での成立を目指し、カジノ解禁への法案を議員立法で会期後半をめどに提出することを目論んでいる。

 ギャンブルとしてのカジノ(=賭博)は、刑法第185条で禁じられている違法行為だが、カジノ建設はオリンピック開催に向けホテルの収容能力アップにつながるだけでなく、五輪開催中に利用可能な娯楽施設やサービスを提供できるため、今後提出される見込みの合法化法案は可決される見通しだ。

日本のカジノは100億ドル(1兆円)市場、世界2位の規模との予測も

 米投資銀行のユニオン・ゲーミング・グループは、日本でカジノが解禁されれば「約1兆円市場規模」になると試算。昨年の売上高が380億ドルで、ラスベガスの6倍にも上った世界一のマカオに次ぎ、日本が第2位の市場になる可能性が大きいとも分析している。

 約100億ドル(約1兆円)の収入をもたらすだけでなく、「雇用創出」「税収増」「観光産業振興」「地域活性化」など、経済再生の起爆剤として都市・地域の国際競争力を高め、ヒト・モノ・カネを呼び込むなど「アベノミクスの第4の矢・東京五輪」に次ぐ「第5の矢」としても海外から大きな注目を集めている。

 この“バクチ”を合法化しようというカジノ解禁が強力に進められている背景には、安倍晋三首相が国際観光産業振興議員連盟の最高顧問であることや、同首相が議長の産業競争力会議で、慶応義塾大学の竹中平蔵教授、楽天の三木谷浩史会長らを中心とする民間議員が「アベノミクス戦略特区」の創設を提言、“カジノコンベンション”の推進を要請していることも大きく影響している。