先日知人と会食した際、新橋のベリョースカ白樺の名前が出た。その店でグルジアを代表する白ワイン「ツィナンダリ」を購入し、愛飲していたという。何でも1本1300円だったとかで非常に懐かしい話題で盛り上がった。もうかれこれ30年近い昔の話であろう。こうした昔ながらのグルジアワインファンに出会うことも今でもあるものだ。
グルジアにとってワインは格別な存在
一方、やはり年長の知人からは奥様がグルジアワインの会に参加してきたとのメールもいただいた。
セミナーから帰宅した奥様曰く「あなたがモスクワで飲んできた高いグルジアワインは“本物”のグルジアワインではない!」。ご主人からは「では、本物のグルジアワインとは何か?」とメールをいただいたのだが、家庭内でグルジアワイン談義とは・・・。ほほえましい気持ちも含めてこちらも嬉しくなった。
たかがワイン、されどワイン。グルジア人にとってワインとブドウ畑は最も重要な文化的シンボルである。筆者はかれこれもう20年近くグルジアに通い、グルジア語も酒席のスピーチで学んだと言っている割にはあまりワインそのものには詳しくない。
しかし、前回はグルジアにおける日本の高評価について記したのであるから、今回はせっかくの機会でもあるので、最近日本でも身近になりつつあり収穫の季節を迎えて今現地では本番たけなわのグルジアワインの話を少し記してみたい。
グルジアワインの魅力
世界最古とも言われるグルジア・ワインの魅力を簡単に記すことは容易ではないし、筆者は残念ながら食文化の専門家ではない。もっとも、丸っこい独特のグルジア文字のラベルの説明を読んで、例えば英語のパートを見ても聞き慣れない葡萄の種類が使われていることくらいは理解できる。
例えば前述の白ワイン・ツィナンダリであれば、「ルカツィテリ」と「ムツヴァネ」という葡萄の種類がブレンドされている。グルジア語でルカは角や葡萄の茎ないし房を意味し、ツィテリは赤を意味する。茎や房が赤みがかったところからついた名前だろう。ちなみにムツヴァネは緑を意味する。
主産地であるカヘティ地方を初めて訪れた際、ルカツィテリの房を食べながら歩いたが、葡萄の種もそのまま食べることに最初は抵抗があった。
しかし、慣れるときれいに丸ごと食べることができるし、小粒だが何より甘いグルジアの葡萄を食べる時には種が良いアクセントになることを知った。
郊外に史跡調査に行く際などにもワインはもちろん葡萄もおやつと水分補給代わりの必需品であり、いつもリュックいっぱいに持っていくか途中で手に入れたものである。