「よし、我が社も今すぐやろう」。ソーシャルメディアリスニングツールの説明を受けた社長からの一声。社長はなぜ即断即決したのだろうか。
今や経営において、ソーシャルメディア上の顧客の発言や自社の評判は無視できないものとなっている。特に、実名が公表されている社長、役員などの経営層にとっては、その内容次第では経営者生命にまで関わる可能性もある。
そこで登場してきたのが、ソーシャルメディアを通して顧客の声をモニタリング、分析するソーシャルメディアリスニングツールである。
使い方として最も分かりやすいのが、会社名、社長名をキーワードにしてSNS上での投稿を調べて、どこでどれくらい、どんな内容で話題に上っているかを把握するというものだ。
企業にもよるが、社長名であたってみて気になる結果が出てこない方がおかしい。その現状を社長に伝えると、「とりあえず始めてみろ」という話になるわけだ。
また、そういった直観的な話だけでもない。
こういったツールは業務システムと異なり、費用対効果でメリットを語ることは難しい。そのため、情報システム部の管理職など中間層からは起案されにくい。
しかし、経営者の目線では異なってくる。使っておかないと情報戦で乗り遅れるのではないか、という強迫観念と、何かリスクがあったら早期に摘み取る必要がある、というリスク予防の観点から、トップダウンで活用が決められることが多い。
また経営陣が高年齢層の場合、みんなそれほどSNSを使っているわけではないため、書き込まれた内容の信憑性や影響の度合いを判断できない。そういう状態で他人が自分のことをつぶやいていたりすると、気が気ではなくなってしまうのだ。
こうした背景のもと、ソーシャルメディアリスニングツールはトップダウンで導入・活用が決められがちだという性格を持っている。
トップダウンで苦悩する受け皿部門
さて問題は、その「今すぐやろう」の受け皿となる部門が具体的に何をどうすればよいかである。
やれと言われても、社内ではそもそも日常業務に存在しないものであり、どこから手を付けたらよいか分からず途方に暮れることも珍しくない。