今や政府もグローバル人材育成のために日本人の留学を積極的に推進していますが、ご存じの通り渡航先は欧米の英語圏が主流です。
日本には欧米留学経験者はたくさんいますが、アジア留学経験者はまだまだ少ないのが現状です。この希少性が相対的な個人の付加価値や競争力となり、Employability(就職できる力)の向上につながります。
このところ多くの企業がアジア市場への展開を図っている中で、現地での海外研修やアジア留学経験者の採用を検討しているところが増えています。企業側はアジアでの生活経験があり、その文化風習を理解し、アジアの人たちとスムーズにコミュニケーションができる人材を欲しているのです。
日本認定留学カウンセラー協会(JACSAC)代表幹事で国際教育事業コンサルタントの星野達彦氏によると、このような状況にもかかわらず、まだまだ留学希望者の多くは欧米志向で、留学先にアジアではなく欧米を選ぶ傾向が強いといいます。
つまり、企業が求める人材の需要に供給が足りていない状況なのです。
現地のニーズを理解することができ、人脈もつくれる
星野氏はアジア留学に多くの価値を見出しています。最近出版された『英語はアジアで学べばうまくいく』にも、そのことが解説されています。
まず1つ目は、欧米とは異なる気づきや発見がある点です。物が豊かでサービスも行き届いた成熟した日本から見ると、発展の過程にある新興国には、足りないもの、あったら便利なサービスなどがたくさんあることに気づきます。
また、経済格差、公衆衛生、交通事情、文化、習慣など、留学生としてそこに一定期間住むからこそ分かる社会状況や庶民のニーズを理解できることが多くあります。TVやネットで見るのとは違い、現地の状況を五感で感じられるのです。
今後ますます存在感が増すアジア新興国での生活を経験しているということは、留学後の大きな財産になるでしょう。ビジネスチャンスが見つかれば事業を立ち上げてもよいですし、帰国後に企業でアジア生活の経験を生かすこともできるでしょう。
また2点目に星野氏が指摘しているのは、アジアにおける人脈づくりです。