1 はじめに
中国は海洋警察関連組織の統合組織を発足させ、昨年来接続水域の航行や領海侵入を常態化させ、航空活動も活発化させている。日中中間線付近のガス田の開発も急いでいる。レーダー照射・ロックオン事件もあり、日中関係は、今や危険水域に差しかかっている。
巷では、日(米)・中の軍事衝突の懸念が高まり、メディアでも強硬な論説や言辞が散見され、中国では尖閣戦争を舞台としたゲームソフトまで販売されているようだ。
かかる状況下で、いま一度、中国の対外武力行使の歴史を概観し、そこから中国の武力侵攻に関する思想・考え・概念を摘出し、対日武力侵攻の可能性等を検討してみたい。
孫子の兵法「謀攻編」に曰く、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」と。我が国が直面している尖閣諸島の主権に対する重大な挑戦に如何に対処すればよいかのヒントが、中国の過去の対外紛争の歴史の中に隠されているはずである。
以下詳述は避けるが、大胆に仮説を立ててみたい。